中華メーカーを中心にシリコンカーボンバッテリーを積極的に開発しており今や折畳式機種も6000mAhを超えてきており今年後半に登場するフラッグシップは7000mAhを超えるとの話です。
さらに来年には8000mAhを超えると言われておりモバイルバッテリーが不要の時代になるのかもしれません。一方でGalaxyやPixelにXperiaなどはシリコンバッテリーの搭載に消極的な印象です。
今回Phone Art氏がGalaxyやPixelのバッテリー容量とシリコンカーボンバッテリーについて言及しているのでまとめたいと思います。
アメリカの輸送規制の影響。
先日より一部市場で発売されたGalaxy S25 Edgeは3900mAhというバッテリー容量が話題になりました。何よりシリコンカーボンバッテリーを搭載してバッテリー容量を増やすべきだっとの声が非常に多いです。
ただかなりのリスクをとってバッテリー密度を増やすしても4200mAh程度にしかならないとの話があります。つまりバッテリーサイズ自体が小さければシリコンカーボンバッテリーにしても大して増えないことになり、メリットよりリスクの方が高くなる可能性があります。
とはいえスペック的に見劣りすることに違いはなくこれはGalaxyやXperiaの最上位モデルも一緒です。今回の情報によるとXperiaやPixelにGalaxyのバッテリー容量が増えない理由の一つとしてアメリカ政府によるとリチウムイオンバッテリーによる輸送規制が原因の可能性があると指摘しています。
The mystery behind why Samsung, Apple, and Google don’t significantly increase battery sizes has been solved, with the primary reason being U.S. federal regulations on lithium battery transportation, 49 CFR 173.185: For lithium-ion battery cells, the limit is 20 Wh.
Overview of… pic.twitter.com/NbdDR7wais
— PhoneArt (@UniverseIce) July 3, 2025
そしてこの規制によると20Whが最大値でこの規制を遵守しないとアメリカでの販売が実質不可になります。
その上で情報源が計算した結果5000mAhのバッテリーを搭載しているGalaxy S25 Ultraは19.4Whで5060mAhのバッテリーを搭載したPixel 9 Pro XLは19.68Whで5000mAhのバッテリーを搭載したXperia 1Ⅶは19.52Whと近年バッテリーが増えない機種は規制ギリギリの状態です。
Xperiaに関してはアメリカで販売していないことからも規制を遵守する必要ないかなと思います。ただ毎年FCCの認証を通過させていることからも認証関連の兼ね合いから遵守している可能性もあります。
一方で6000mAhのバッテリーを搭載したOnePlus 13でみると23.22Whと規制をオーバーしています。ただこの数字は一つのバッテリーを搭載していると仮定して計算した場合の話でOnePlus 13はデュアルセル仕様で一つあたりのバッテリーで見ればアメリカの輸送規制にひっかからないです。
今後シリコンカーボンバッテリーを搭載するか別の話としてこの規制がある限りバッテリー容量はデュアルセル仕様にしない限り増やしにくい状況でバッテリーをそもそも2つ搭載している折畳はまだ増やせる状況となっていることから今後メーカーがどのような対応をとるのか気になります。
ちなみにリーク通りであればGalaxy S26 Ultraは5000mAhでPixel 10 Pro XLは5200mAhになると予測されています。何より中華メーカーは基本アメリカで発売していないからこそこの規制に縛られることなく強化することが可能です。
一方でアメリカを中心にしているGoogleやAppleは規制の影響からバッテリー容量が増やすのが難しいです。この規制に対して自分は理解していないので何ともですがバッテリー容量が増やせないのであれば今後バッテリー技術が進化した場合に容量増加ではなくバッテリーの小型化をメインにするかもしれません。
品質と規制。
また合わせてGalaxy Z Fold7でシリコンカーボンバッテリーを搭載しなかった理由に言及しています。ちなみにSamsungによると筐体の薄型化やサブディスプレイの操作性の改善や軽量化など電池持ちの改善よりユーザーのニーズに合わせた進化を優先させたことを明らかにしています。
ちなみにGalaxy Z Fold6でみるとアメリカの輸送規制において15.4Whなので余裕はあります。その上でGalaxy Z Fold7でシリコンカーボンバッテリーを採用しなかった理由として規制です。
コストの増加。
EUで販売するにあたってCE認証とEPRELデータ検証において容量が多いバッテリーほど複雑な安全テストを実施する必要があり必然的にコストが増加することに加えバッテリーの管理システムによる健康データの追跡も義務付けられており技術的なハードルが高くなっていることを指摘しています。
また2027年からユーザーは特殊なツールなしでバッテリーを交換できる仕様を採用する必要があります。そのため特に折畳式機種は特殊なヒンジ構造の問題から大きな課題に直面しているとの話です。
おそらくですが限界までバッテリー容量が増やすことによって修理しにくい内部デザインを採用するのではなく修理しやすい内部デザインを提供するためにバッテリーを制限している可能性があります。
バッテリーの品質も規制対象に。
そしてEUの規制からもバッテリーの充電サイクルは2028年から最低1000サイクルを達成する必要があります。ちなみにシリコンカーボンバッテリーは現状だと600~800だとしており改良するための時間がまだあるとはいえわざわざスペックのために品質が低いバッテリーを搭載する考えがないのかもしれません。
ちなみにGalaxy Z Fold7に関しては2000サイクルを達成と品質面ではかなり優れていることになります。
販売後のコストも増加。
その他カーボンフットプリントの開示とリサイクル率の規則により大容量のバッテリー自体のコストが増加することに加え最低5年のアップデートサポート期間の提供に最低7年間の修理用コンポーネントの提供と売ってからのコストもどんどん増加する流れにあります。
少なくともSamsungで見ればシリコンカーボンバッテリーの開発に莫大な投資をするよりも信頼性がある5000mAhのバッテリーの最適化を進めるのが合理的と判断した可能性があります。
Galaxy Zシリーズに関しては今後バッテリー容量が増加する可能性がありますがUltraモデルはコスト面を考えると当面は5000mAhを維持することによって規制対策しつつコストカットしていくのかもしれません。
以前Xiaomiがヨーロッパにおいてバッテリー容量を減らす理由がコストカットのためであると言及していましたが今回の情報をみると納得でEUの規則は本当に面倒なことが多いと思います。
結局EUにおいてまともなスマホメーカーがいないからこそ好き勝手規制している印象です。
シリコンカーボンバッテリーの問題。
バッテリー容量が増加すれば電池持ちが必ずしも改善するわけではないですがハードでゴリ押しが出来るようになるので結果的に見れば大容量バッテリーを搭載した機種の電池持ちは安定しやすいと思います。
ただ一部情報によるとシリコンカーボンバッテリーは電力効率は良くないとの指摘もあります。
バッテリー容量が増えているのでユーザーからすれば電池持ちが改善したと実感しやすいですが従来の技術を採用したバッテリーを比較した場合シリコンカーボンバッテリーは容量に対して実現できている電池持ちは悪いと判断することができ今回の情報にあるバッテリーの劣化も問題だと思います。
品質よりもインパクトを重視。
結局シリコンカーボンバッテリーを搭載していない機種は1000サイクル以上は割と普通に達成していることが多いです。そのためバッテリーによりますがシリコンカーボンバッテリーは下手したら2倍以上のスピードで劣化する可能性があるので長期利用と考えた場合にユーザビリティは下がる可能性があります。
ちなみに中華系は長期利益よりも短期利益を優先していると言われており同じ機種を長期間使ってもらうことよりも最新機種をどんどん買って欲しいというスタンスという話もあります。
このことからもシリコンカーボンバッテリーの品質よりバッテリー容量など分かりやすい部分を優先しているのもある意味中華メーカーらしく思え品質に関しては後からついてくる考えなのかもしれません。
少なくともバッテリー一つとってもこれだEUで販売する時に規制でコストが増加することから大陸版がどんなに安くてもグローバル展開する際に高価格化しているのは仕方ないと思います。
メーカーの慎重な判断も重要。
そして何よりシリコンカーボンバッテリーは品質や規制の問題からGalaxyやiPhoneにPixelは採用しにくい状況であることに違いはなく今後もこの流れが継続するかなと思います。
Galaxy Note7で派手にやらかしたことからもSamsungがより慎重になるのはわかります。そして最近でみるとGoogleはaシリーズに対してバッテリー交換プログラムを提供することが増えています。
おそらく中華製のコストが安いバッテリーを採用したことで安全上の問題が高まった可能性があります。このことからもコストカットしつつシリコンカーボンバッテリーを採用するとなる自社開発に製造していないGoogleはリスクが高くなると思うので当面は慎重になるべきかなと思います。
ちなみにSamsungは通常Galaxy Sシリーズでは自社製とサードパーティ製のバッテリーを採用していますがGalaxy S25 Edgeに関しては全て自社製のバッテリーを採用とコストより品質を優先した可能性があります。
とりあえず電池持ちをバッテリーで底上げするのが難しいことからOSとSoCが重要になります。
まとめ。
今回はリーカーがシリコンカーボンバッテリーの品質とバッテリーの輸送規制に言及していたのでざっくりとまとめてみましたが規制はいい側面もあれば今回の側面でみれば進化を阻害していると思います。
何より今後バッテリー容量でみれば中華系とそれ以外では差が拡大するだけかもしれません。