Pixelユーザーからすれば待望ともいえる存在なのがGoogle Tensor G5を搭載するPixel 10です。その理由としてGoogle Tensor G5はようやく品質が高いといわれているTSMC製に切り替わると予測されています。
今回海外サイトがGoogle Tensor G5からTSMC製に切り替わるGoogle事件に言及していることが判明したので簡単にまとめたいと思います。
Google事件が発生。
GoogleがGoogle Tensor G5でSamsungからTSMC製に移行したことからSamsung内部はパニックになっているとしています。そして今回の情報によるとSamsung内部の混乱はGoogle事件と呼ばれるくらい深刻だとしています。
Googleはコストが安かったこともあるのか初代Google TensorからSamsungと共同で開発しておりExynosの内部コードにおいてもGoogle Tensorを確認できることからも実質Exynos扱いです。
ただこの流れは昨年発売されたPixel 9シリーズが搭載しているGoogle Tensor G4が最後です。そして何より問題となってくるのがGoogleはなぜSamsungから離れることを決意したのか。
求めていることが実現出来ない。
今回の情報によると一つ目の理由としては半導体知的財産の不足からGoogleが半導体に求めている多様な性能や機能を満たすことが出来ず最終的にはPixelの進化もどんどん遅れていることになります。
モバイル部門同士の競争が激化。
そして2つ目の理由としてはGoogleが2023年にPixel Foldを発表したことで折畳式機種市場に参入しました。その結果Samsungのモバイル部門との競争がより激化していることも影響した可能性があるとの話です。
ちなみにAppleがAチップのサプライヤーをSamsungからTSMCに移行したのも同様の理由としています。一方でSamsungとGoogleは共同で機能を開発しておりかこって検索は分かりやすい例だと思います。
また直近でみれば今年の後半に追加されるデスクトップモードもSamsung DEXがベースとなっており今年の2月頃から切り替えが進んだNear By ShareもSamsungのQuick Shareがベースになっています。
Googleの幹部によるとPixelの売り上げが拡大することはSamsungに影響がないのかとの質問に対して特段影響はないと発言していますが今回の情報通りであれば影響があると判断することが出来ます。
製造が安定しない。
そして3つ目としてSamsungの製造状況でプロセスノードが高度化するほど不安定になっていることです。少なくとも5nmプロセスノードまでは問題がなかったですが4nmプロセスノードから一気に不安定になりました。
一部噂によるとSamsungはQualcommに対して歩留率の虚偽報告をして誤魔化していたとの話があります。この虚偽報告以来途中でQualcommはSamsungからTSMCにサプライヤーを変更したと言われています。
また品質テストに合格していた個体も微妙な感じで結局Snapdragon888やSnapdragon 8 Gen 1は爆熱SoCと評判が悪くメリットがあったとすればスマホの発熱対策が一気に底上げされたことです。
結局TSMCと同じタイミングで同じプロセスノードを採用した半導体を製造するのは厳しいとの状況になっています。昨年の上半期もExynos2500の歩留率の改善に注力することを明らかにしていましたがGalaxy S25に間に合わずGoogleとして高品質なSoCを安定して供給してほしいことからも切り替えた可能性があります。
顧客獲得が出来ないていない。
Samsungは半導体市場で見ればシェア2位と言われていますが1位のTSMCと雲泥の差があります。市場調査会社によると第1四半期においてSamsungは昨年対比でシェアが8.1%から7.7%に縮小しています。
一方でTSMCに関しては67.1%から67.6%とシェアが微増ですがキャパがすでに限界との話もあります。また中華系の半導体企業に抜かされるのは時間の問題になってきた可能性があるとも言われています。
何よりコロナ禍では半導体需要が一気に高まったこともあり売り上げも利益も爆増していました。またSamsungも今後半導体部門に莫大な投資をすることを明らかにしていましたが特需が終了した途端に大幅なマイナスとなっており特需期間でさえ顧客を取り逃がしている状態にありました。
以前でみるとQualcommは数年おきにSamsungとTSMCとサプライヤーを変更していましたがここ数年でみるとTSMCのみで今後数年でみてもSamsungに切り替えるとの話は全然出てきていないです。
あくまでもSamsungが任されているのはミドルレンジやエントリー向けのみとなっています。少なくとも顧客を新規で獲得出来ない状況が続いている中でGoogleですらSamsungから離れた状況にあります。
これはSamsungにとってかなりのダメージになった可能性があるからこそ事件呼ばわりとなっている可能性もあります。
自社向けすら製造出来ず。
またそもそも半導体部門自体はモバイル部門向けとなるExynosすらまともに製造出来ていないです。Exynos2300に関してはパフォーマンスの悪さからもモバイル部門は採用を断ったとされています。
そしてExynos2500に関しては歩留率が改善しなかったことからGalaxy S25シリーズでの採用はキャンセルになったと言われています。ちなみに一部情報によるとGalaxy S25シリーズはExynos2500を採用出来ずSnapdragon 8 Eliteを搭載したことで増加したコストとExynos2500の開発にかかったコストは合計で4億ドルとの推計です。
執筆時点での為替で計算すると損失額は590億円とめちゃくちゃコストが増していることになります。またモバイル部門としては予定通りExynosを搭載出来ないことからも予算オーバーとの話です。
少しでもグループ全体での損失を減らすためにGalaxy Z Flip 7はExynos2500を採用するのかもしれません。とはいえSnapdragon 8 Elite 2が登場する直前のタイミングで搭載機種が出ても見劣りします。
さらにExynos2500を予定通りに供給できなかったことからもExynos2500eを出せないとの話です。そのためコストを抑えることが難しくGalaxy S25 FEは搭載SoCが刷新されたないとの話もあります。
何よりモバイル部門も半導体部門に振り回されている状態でグループ全体で見れば損失も大きいと思います。Exynos2600では2nmプロセスノードを採用すると予測されておりGalaxy S26シリーズが採用と噂されています。
ただここ数年のSamsungを見れば結局歩留率を改善させることが出来ずキャンセルになる可能性があります。正直Googleにも逃げられ自社製品にもまともに搭載出来ないと散々な状況になっているように見えちゃいます。
Googleが離れた理由。
言ってしまえばチップメーカーはもちろんモバイル部門にも見放されつつあるSamsungですがGoogleは今までなぜSamsungとの共同開発を早く打ち切ることを選ばなかったのかとの疑問が出ると思います。
海外サイトによるとGoogleはインドとアメリカで半導体の開発を進めていたといわれています。そのせいかコロナの影響で開発が遅れたとも言われておりそもそもGoogleとしてはTensor G4のタイミングでTSMC製に切り替えるの目標だったみたいですが単純に間に合わなかったと言われています。
また以前よりTSMCへ切り替えることは検討されていたみたいですがコストの高さから断念したとの情報もあります。少なくともTSMCは需要過多の状態となっておりプロセスノードが進化すればするほどコストが増加しています。
そのため以前見送られたタイミングよりコストが増加している可能性は十分に考えられます。
ユーザビリティの改善。
それでもGoogleは切り替えを進めた理由としてはSoCの効率性を改善することが最重要課題との話です。結局いくらコストが安くても品質が低いSoCを採用しているといつになってもユーザビリティは改善しません。
またアメリカにおいてPixelが返品される主な理由としては電池持ちの悪さと発熱のしやすさです。結局販促費をかけてユーザーに買ってもらっても満足度が低くて返品されたり次で他社に流れてしまうとGoogleの最終目標である自社サービスに課金してもらうという流れに繋がらない可能性があります。
だからこそGoogleはユーザビリティを改善してブランドロイヤリティを底上げするために安定性の改善に注力していると言われておりSoCの底上げは今後のPixelにとってかなり重要と判断出来ます。
もちろんSoCが安定すれば全体で安定するわけではありませんが現状だとGoogle Tensorをソフトで無理やり制御することで安定させている印象でその割には電池持ちがそこまで良くないと思います。
またベンチマークが全てではないですがミッドハイレンジ向けのSoCと同程度になっている印象です。もちろん半導体を開発する上で自社開発ならやりたいことをSoCレベルで最適化しやすいと思います。
GoogleはPixelにAIをブレイクスルーするためにGoogle Tensorに切り替えたとしていますがスペックでみればSnapdragonのTPUやNPUと比較してめちゃくちゃ高いというわけでもないと言われています。
つまり現状だとベンチマークスコアの低さをAIを言い訳にしているだけと言われても仕方ないです。少なくともSoC自体が安定するのであれば今のように抑え込む必要はないのかなと思っています。
そうなればゲームをそこそこ出来るようになりPixelをマルチで使いやすくなる可能性があります。
Samsungと開発してきたメリット。
一方でSamsungと共同開発してきて唯一のメリットだと言われているのが独自ISPの開発だと指摘されています。今まではSamsungのISPをセミカスタマイズしたものを搭載していましたがGoogle Tensor G5は完全に独自のものに切り替わると言われており写真や動画の質も底上げされる可能性があります。
独自ISPはコストがかかる上に期間も必要とされていることから積極的に投資をしにくい分野です。その中でGoogleはSamsung製の間に完成させることが出来たのはかなり大きいと指摘されています。
まとめ。
今回はSamsung内部でGoogle事件が発生してパニックとの話が出てきたのでまとめてみました。今のSamsungの状況を考えればGoogle Tensorのコストをより抑制することが出来た可能性はあります。
それでもTSMCに切り替えたということはGoogleのやりたいことが出来ていないと判断することが出来ます。何よりGoogle Tensor G5はAIも重要ですが安定性の部分がどれだけ改善しているのか楽しみです。