ゲーム性能は露骨。Pixel搭載Tensorは世代を重ねて本当に改善しているのか

GoogleによるとPixelにAIをブレイクスルーするためにPixel 6からGoogle Tensorに移行したことを明らかにしています。少なくともGoogleが求めるAI関連の新機能が徐々に実装されていますがユーザーとしてはベンチマークスコアの低さや電池持ちの悪さなど基礎的な部分の方が気になると思います。

今回Android AuthorityががGoogle Tensorの発熱と電力効率において検証結果を共有しているので簡単にまとめたいと思います。

発熱は改善しているのか?

Pixel 6シリーズでGoogle Tensorが採用されて最も話題になったのは発熱のしやすさです。その当時のライバルSoCと比較するとベンチマークにそこまで差があったわけではありません。

だからこそユーザビリティに直結する発熱を気にするユーザーが多くアメリカでは訴訟問題にまで発展しています。またPixel 6シリーズはストレージが故障する不具合も発生しておりハード自体に問題があるのか、それとも発熱が原因で内部コンポーネントに負荷がかかり故障したのでは?と言われています。

何よりGoogle Tensor G4と世代を重ねたことで発熱問題は本当に改善しているのかどうかは気になるところです。そして今回海外サイトが検証結果を公開しており一つ目としてベンチマークでストレスをかけた場合に内部温度ではなくあくまでも外部温度でどの程度の違いあるのか検証したとしています。

もちろん負荷をかけた場合のCPUやバッテリーの温度は重要な要素ですが近年のスマホは発熱対策を強化しておりユーザビリティに直結する部分としては内部温度よりも外部温度です。

その上で今回の検証結果を見ると各種テストにおいてPixel 6 ProよりPixel 9 Pro XLの方が外部温度が高い傾向にあり最高温度だとPixel 6 Proが40.1度に対してPixel 9 Pro XLは43.2度となっているので同じ負荷をかけた場合Pixel 9 Pro XLの方が熱くなりやすいです。

また今回の検証結果に基づいた平均温度でもPixel 6 ProよりPixel 9 Pro XLの方が高いです。そのためパフォーマンスを考慮せず外部温度だけで見るとPixel 9 Pro XLは悪化しています。

一方でPixel 6 ProからPixel 8 Proまで同じ負荷をかけた場合発熱は上昇傾向でしたがPixel 8 ProとPixel 9 Pro XLを比較した場合には緩やかになっていることを確認することができます。

そのためPixel 6 Pro対比で外部温度は上昇していますが徐々に発熱しにくくなっていることになります。もちろんユーザーからすれば外部温度も重要だと思いますがパフォーマンスの持続性も重要です。

今回の検証結果を確認するとPixel 6 Proは60%以下に対してPixel 9 Pro XLは75%以上となっています。またPixel 8 Pro対比でもPixel 9 Pro XLは僅かに安定率が改善していることを確認できます。

多くのスマホは内部温度が上昇するとスロットルダウンをかけて発熱を抑制しようとします。その結果パフォーマンスの安定率が悪くなりますがPixel 9 Pro XLの場合は発熱しても安定率にそこまで影響が出ていないことからきつめのスロットルダウンをかけていない可能性があります。

海外サイトによると外部温度が上昇しつつもパフォーマンスの持続性が改善した理由としては発熱対策が強化された結果としておりPixel 9 Proシリーズではベイパーチャンバーを搭載しています。

Pixel 6シリーズの頃はグラファイトシートのみだったと思うので放熱性能がより強化された結果外部温度は上がりやすくなったけどパフォーマンス自体は安定しやすくなったことになります。

一方で筐体サイズの問題もあると思いますがPixel 9 Proはちょっとイレギュラーな存在となっており、やはり排熱効率が悪いのかPixel 9 Pro XLと比較すると発熱しやすく安定率も悪いです。

電力効率は改善しているのか。

何より日常使う上でゲームでもやらない限りベンチマークほどの負荷がかかることはないです。またAnTuTuと3D Mark Wild Life Stress Testでも発熱の仕方が全然違う印象を受けます。

少なくともゲームをやらない自分の使い方だと世代を重ねるごとに発熱しにくくなっている印象を受け、個人的にはPixel 8シリーズで一気に発熱しにくくなってPixel 9シリーズで洗練されたと思います。

ただ先ほどの話と重複しますが大型モデルの方が発熱を感じる頻度は少ないという印象です。そして発熱のしやすは消費電力に直結しているので電池持ちにも影響を及ぼすことになります。

海外サイトによると今回は撮影やゲームなど大きく5つのカテゴリーでバッテリーテストを実施しています。

あくまでも最上位モデルでみるとPixel 6 Proが5003mAhでPixel 9 Pro XLは5060mAhとほとんど変化していないことから逆に分かりやすくほとんどのカテゴリーにおいて世代を重ねるごとに電池持ちが改善傾向にありPixel 9 Pro XLの電池持ちがまだ安定しています。

一方でゲームは例外となっておりPixel 7 Proで改善したかと思いきや世代を重ねるごとに悪化傾向にありPixel 9 Pro XLはむしろPixel 6 Proより悪いという結果になっています。

Google Tensor G4だとパフォーマンス自体は改善されているためゲームプレイ時のパフォーマンスも改善している可能性が高いですが消費電力の最適化は全くされていないことになります。

もちろんテストするアプリによっても結果が異なるのかもしれませんが改めて今回のテスト結果をみるとGoogleはゲームに対して最適化をしていないことが露骨になった感じです。

何より今回のテスト結果を元にするとPixel 6 ProからPixel 7 Proは電力効率が35%改善しており、Pixel 7 ProとPixel 8 Proはほとんど一緒でPixel 8 ProとPixel 9 Pro XLでは電力効率が11%改善していることが判明したとしています。

またPixel 6 ProからPixel 9 Pro XLで比較すると電力効率が48%の改善と僅か4年という期間を考えると大幅に改善していることになります。少なくとも今回の検証結果だと世代が進むごとに電力効率が改善傾向になることを確認できます。

そして一部情報によるとGoogle Tensor G5ではアーキテクチャによるパフォーマンスの改善は最低限にしている一方でTSMCの3nmプロセスノードの採用や新しいパッケージング技術を採用することでプロセスノードによるパフォーマンスと電力効率を主軸にしている可能性があります。

つまりベンチマークではそこまで改善しなくてもGoogle Tensor G4対比でパフォーマンスが改善しつつ発熱がより抑制され電池持ちが大幅に改善される可能性があることになります。

何よりGoogleは電池持ちと発熱の改善を最優先にしているとの話なので今後に期待したいです。

SoCとバッテリーが全てではない。

あくまでも今回のテスト結果は日常生活での使い方からちょっと離れた方法で検証しています。なのでPixel 6 Pro対比で外部温度が高くなっているとはいえ短時間の負荷であれば明らかに世代を重ねるごとに発熱を感じにくくなっているので過度の心配はいらないかなと思います。

またPixelの発熱や電池持ちのネックになっているのが5Gモデムだと言われています。少なくともPixel 6シリーズは最悪で消費電力が多いことからも発熱しやすく電池持ちも悪かった印象です。

さらに接続性も悪いと最悪でしたがPixel 7シリーズでExynos5300に刷新されています。

そのため接続性含めて全体的に改善しておりPixel 9シリーズではExynos5400に刷新されているので数世代前はWi-Fiで使っている時とモバイルデータ接続で使っている時で電池持ちに大きな差があると言われていましたが世代を重ねるごとに少しずつ改善している印象を受けます。

またPixel 6シリーズやPixel 7シリーズで話題となったのがディスプレイの燃費の悪さです。

特にPixel 7シリーズでディスプレイ輝度が大幅に強化されましたが海外サイトによるとGoogleは十分な最適化を行なわなかったことからも高輝度モードにおける燃費が非常に悪いことを指摘しています。

なのでPixel 7 Proだと電波の通りが悪い屋外で使用すると簡単に電池がなくなる感じでした。ただPixel 8 Proでは電力効率が大幅に改善しておりiPhoneやGalaxyと比較しても遜色ないレベルです。

またPixel 9シリーズでは電力効率に優れたSamsungのM14を採用したことでさらに改善しているのでSoCやバッテリー容量だけで発熱のしやすや電池持ちをベンチマークするのは難しいと思います。

Googleの場合はハード全体で品質が低かったからこそ世代を重ねるごとに改善させやすいと思います。少なくともPixel 9シリーズになるとディスプレイ含めたビルド品質はトップクラスなので今度は逆にSoCが足を引っ張っていると判断することができるのでGoogleも注力している可能性があります。

個人的には発熱がそこまで気になることがないので電池持ちの改善に注力してほしいところです。独自SoCを採用しているiPhoneに勝つのはSoCの完成度の違いからも仕方ないと思います。

ただ一方で言ってしまえば既製品を採用しているメーカーの機種とは張り合ってほしいところです。

まとめ。

今回は海外サイトがGoogle Tensorの電池持ちと発熱の検証結果に言及していたので簡単にまとめてみましたが実際に使っているとGoogleはかなり神経質になっている印象です。

意地でも発熱はさせないぞという感じで逆にパフォーマンスを制御しすぎにも感じてしまいます。何よりTSMC製に切り替わるGoogle Tensor G5とPixel 10シリーズの安定性が楽しみです。

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