Googleが2024年第3四半期の決算を発表した際にPixel 9シリーズに強い需要が発生していることに言及しています。ただ決算資料においてPixel 9シリーズがどの程度売れているのか詳細を確認することは出来ません。
ただ今回9To5GoogleによるとGoogle Pixelのシェアが大幅成長していることが判明したので簡単にまとめたいと思います。
アメリカ市場において成長。
今回市場調査会社であるCounterpoint Reserchがアメリカ市場における調査結果を報告していることが判明しました。まず市場全体で見た場合に前年対比の市場成長率は-4%となっており苦戦した四半期になっています。
そしてメーカー別で確認するとAppleは圧倒的な1位でシェア率は54%と微増ですが成長率でみると-2%となっていることからも販売台数自体は減少していることになります。
次に2位のSamsungと確認すると市場シェアは22%と前年対比で-3%の減少になっています。さらに成長率でみても-13%でSamsungの苦戦がAppleのシェア増加に繋がっている可能性があります。
またその他でみても市場シェアは7%と減少しており成長率は-26%とかなり厳しい状況です。一方で飛躍したメーカーもあり一つ目としてはMotorolaでシェア率は13%と2%の増加ですが成長率でみると21%になっており第3四半期で見れば最も成長したメーカーということになります。
ブランドとの認知度が年々高くなっていることに加えミドルレンジモデル中心のラインナップは多くのユーザーにとって手に取りやすい価格の可能性があり興味を持つ人が増えた可能性があります。
そして2つ目としてはGoogleでシェア率は4%と微増ですが成長率は20%と大幅な成長を遂げていることを確認することができます。全体的にみるとマイナスになっていますがその中でもMotorolaとGoogleだけが勝ちの状態となっています。
Googleの業績が良かった理由としてはPixel 8aの販売が安定していることに加えフラッグシップを初めて第3四半期に発表/発売したことで売上が拡大した可能性があります。
ただ当たり前の話になりますが従来フラッグシップを発表/発売していた第4四半期において前年対比で大きなマイナスになってしまうとただ売れやすい時期がスライドしただけになります。
また今回の調査レポートにおいてアメリカ市場のプレミアム部門売れ筋ランキングにおいてPixel 9 Pro XLがトップ10入りをしていますが詳細な順位に関しては残念なことに不明です。
何よりiPhoneやGalaxyなど強力なライバルがいる中でPixel 9 Pro XLは高く評価されたと判断することができます。
少なくともGoogle Storeにおける予約状況からもPixel 9 ProとPixel 9 Pro Foldの人気が非常に高い印象で特にPixel 9 Proの動きはかなり良いのでは?と思っていましたが実際に蓋をあけてみたら実質最上位モデルとなるPixel 9 Pro XLが一番売れたことになります。
少なくともGoogleの発言からPixel 9シリーズに強い需要が発生していることを明らかにしていますが、この強い需要はPixel 9 Pro XLが牽引している可能性があり他の機種の売れ行きも気になるところです。
また直近の情報からも北米市場においてPixelのウェブトラフィックが約12%に達成しており、さらにアメリカ市場だけでみると14%に達していることからもPixelのシェアは徐々に拡大していると判断することが出来ます。
アメリカ市場でみると第3位のMotorolaとシェア率で大きな差がありますが今後どの程度縮めることができるか気になるところで廉価モデルの拡充は重要になってくると思います。
Google Pixel 9 Proの原価コスト。
そして興味深い情報として別の情報源になりますがPixel 9 Proの原価コストが判明したとの話です。Pixel 8 Proと比較した場合に原価コストは約11%減少していることが判明したとしています。
ただPixel 8 ProとPixel 9 Proではバッテリーサイズやディスプレイサイズに筐体サイズと異なる部分が多いので単純な比較は難しくなぜPixel 9 Pro XLと比較しなかったのか謎です。
また今回の情報によるとPixel 9 Proは定価$999に対して原価は$406であると指摘しています。つまり利益率でみると50%を超えていることになるのでGoogleがボロ儲けしているように見えます。
ただ今回の原価コストは構成しているコンポーネントのコストを合計したものに過ぎないです。そのため例えばGoogle Storeからの送料やCMなど含めたマーケティングコストは含まれず。そもそもPixel 9 Proを開発するためにかかった研究開発費などももちろん含まれていないです。
なので最終的な利益率がどの程度に収まるのか詳細を確認することは出来ないので注意が必要です。
一方主要コンポーネントのコストに言及しておりカメラコンポーネントは$61とされています。ちなみに合わせて比較対象となっているiPhone 16 Proのコストは$91とかなり安いです。
少なくともPixelの方がカメラコストを抑制できていることになりますがiPhoneとのコスト差を考えるともっとコストをかけてでもカメラを強化してほしいように感じます。
そして個人的に想定外だったのがSamsungのM14でPixel 9 Proの場合は$75だとしています。一方でiPhone 16 Proだと同じディスプレイ素材にサイズでありながら$110とコスト差があります。
事前情報通りであればiPhone 16 Proシリーズの年内における生産台数は7000万台弱と推計されています。少なくともPixel 9シリーズの累計生産台数よりもiPhone 16 Pro単体の生産台数の方が多い可能性が高いことからも規模の経済でiPhone 16 Pro用の方がコストが安くなりそうです。
ただそれでもPixel 9 Proの方が安いことを考えるとGoogle Tensor G4やExynos5400にGNKなどSamsung製のコンポーネントを多く採用していることから条件がいい可能性もあります。
ちなみに今回の情報によるとPixel 8 Proと比較するとディスプレイのコストは安いとの話です。何よりSamsung M14はスマホ向けのディスプレイとしては最高級品質+価格というイメージです。
ただ今回の情報をみる限りだとGoogleも上手くSamsungと交渉できる立場にある可能性があります。また今回の情報では言及はありませんが最上位となるPixel 9 Pro XLも主要コンポーネントのコストは類似している可能性があり本体価格が高い分利益率はPixel 9 Proより高い可能性があります。
単純に利益率が50%を超えてくるとユーザーからすればぼったくりに感じるかもしれません。特にXiaomiはハードから利益は5%しかとらないとしているので余計にぼったくりに感じるかもしれません。
ただiPhoneは数年前まで利益率が70%近くあったのでPixelの利益率はかわいいものです。ちなみにGalaxyのUltraモデルの利益率は55%前後と言われており上位モデルは似た感じです。
Google Tensorのコスト。
またGoogle Tensor G4のコストにも言及しており$80と前モデル対比で微増との話です。アーキテクチャ自体は変更されていますがプロセスノードはほぼ一緒でパッケージングも一緒です。
少なくとも超マイナーアップデートになっているのでコストだけ爆増しても困るところです。そしてiPhone 16 Proシリーズが搭載しているA18 Proに関しては$135のコストとの話です。
ちなみにDimensity9400は何度か価格改定が行われたことからも$160前後と言われています。一方でSnapdragon 8 Eliteに関しては$190前後とフラグシップ向けの中では圧倒的です。
ただリーク段階では$250前後になると言われていたので$190前後ならまだ安いほうです。何よりSnapdragon 8 Eliteクラスのコストになるとエントリーモデルが買えるレベルです。
ちなみにSnapdragon 8 Gen 3は$170前後と言われているのでやはり高いことに違いはないです。何より今回の情報通りであればGoogle Tensor G4の原価コストはかなり安いことになります。
ただ注意点として先ほどと同じですが製造原価であって研究開発費などは含まれていません。少なくともSnapdragon 8 Eliteなどをみる限りだとTSMCの3nmプロセスノードを採用した半導体のコストは$130前後くらいでメーカーの研究開発費をのせて$170前後になるのかもしれません。
結局GoogleにしてもAppleにしても研究開発費を含めると同程度のコストになる可能性があります。またGoogle Tensor G5からTSMCの3nmプロセスノードに新しいパッケージング技術を採用すると予測されています。
これはA19チップと全く一緒といわれていることからもA18 Proのコストと同程度になるかもしれませんつまりGoogle Tensor G5では$50近くのコスト増加になる可能性があることになります。
ただそうなった時にGoogleはPixel 10シリーズでどのようなコストカットをするか気になります。少なくともiPhone 16シリーズが前モデル対比で値上げされなかったこともあり値上げしにくいはずです。
Samsungに関しては歩留率の問題からもExynos2500を採用することが出来ないとの話です。従来では発売地域によってSnapdragonとExynosで分けることで利益率を調整していた可能性があります。
ただSnapdragon 8 Eliteしか採用出来ない流れになれば利益率を調節するのが難しいです。そのためGalaxy S25シリーズが値上げの可能性もあり逆に値上げになればGoogleも値上げしやすい感じでアメリカのインフレを考えるとスマホだけ値上げされないのが異常です。
少なくともiPhone XからiPhone 16 Proまで$999を維持しているのに対してインフレなどからユーザーの賃金も高くなっているのでスマホは相対的に安くなっています。
その中でGoogleはPixel 10シリーズでどのような判断をするのか非常に気になるところです。
まとめ。
今回はアメリカ市場においてPixel 9シリーズが順調であることが判明したのでまとめてみました。Googleの目標は年間出荷台数が1000万台と言われている中でどの程度達成したのか気になります。
何よりPixel 10シリーズのSoC刷新によってさらに勢いをつけてほしいところです。