Pixel搭載Google Tensor。Googleは独自SoCを継続するべきなのか

Googleによると自分達がやりたいことを実現するには既製のSoCでは限界があったことを明らかにしています。そのため約4年の月日をかけてGoogle初の独自SoCとなるGoogle Tensorを2021年に正式発表しています。

ただSoCの完成度が高いとは言えずGoogle Tensorに移行してから批判の声は増えています。今回はGoogleがGoogle Tensor G4など独自SoCの開発を継続する必要があるのか主観的にまとめたいと思います。

Dimensity9400が正式発表。

少なくとも8月に開催された新製品イベントにおいてGoogleはPixel 9シリーズで搭載したGoogle Tensor G4にはほとんど触れていないことからもアピールする材料があまりない可能性があります。

また海外サイトによるとGoogle Tensor G4は超マイナーアップデートであることを指摘しています。ただそれであってもGoogleはGoogle Tensorを今後Pixelに搭載していきたいんだと思います。

一方でユーザーからすればGoogle Tensor G4にそこまで拘る必要があるのかと疑問に思うかもしれません。何よりGoogle Tensorに固執する理由の一つしてはAIのパフォーマンスを強化するためです。

とはいえ近年で見るとAIの進化が著しいことからもQualcommやMediaTekもフラッグシップ向けのSoCではAI性能を強化しており先日正式発表されたDimensity9400を見てみたいと思います。

Google Tensor G4は大型コアとしてCortex-X4を搭載した上でミドルコアを3つに高効率コアを4つと従来からある一般的なオクタコア構成を採用している感じになります。

Google Tensor G2は大型コアを2つ搭載した上でGoogle Tensor G3はミドルコアを4つなど逆に世代を重ねるごとにオーソドックスな構成となっており正直目立った特徴はないです。

一方でDimensity9400はオールビックコア戦略をDimensity9300から継続しています。Dimensity9300は大型コアであるCortex-X4を4つ搭載した上でCortex-A720を4つ搭載しています。

つまり小型の高効率コアを搭載しない異質な構成となっていましたがDimensity9400では超大型コアであるCortex-X925に3つのCortex-X4に4つのCortex-A720で構成されています。

ざっくり言えば超大型コアを新たにに追加した分Cortex-X4を一つ減らした感じになります。

少なくともCPUでみると電力効率は40%改善した上にシングルスレッドで35%高速化した上でマルチスレッドでは28%高速化しており立役者の一つとしては初の3nmプロセスルールを採用していることです。

もちろんGPUも強化されておりピークパフォーマンスは最大41%高速化されていることに加えレイトレーシングは40%の向上と具体的な数字に触れていませんが電力効率も大幅に改善しているとの話です。

個人的には電力効率の改善で搭載機種の電池持ちの改善にどこまで貢献するのか気になるところです。そして一番気になる部分としてDimensity9400はGoogleのGemini Nanoをサポートすることです。

現状だとPixel以外でGemini Nanoを統合しているのはGalaxy S24シリーズと第6世代のGalaxy Zシリーズのみですが今後Dimensity9400搭載機種でも対応機種が増える可能性があります。

ちなみにOppoやOnePlusは年内にはGeminiに対応することを明らかにしています。

このことからもOppo Find X8シリーズやOnePlus 13のグローバルモデルはGemini Nanoを統合している可能性がありSnapdragon 8 Eliteも同様にサポートしている可能性があります。

独自SoCを継続する必要性。

Appleですさえ初期のAチップはパフォーマンスも低く電力効率も優秀という感じではありませんでした。ただMチップを発表した頃からAチップも大きく飛躍した感じで今こそパフォーマンスも高ければ電力効率も優秀となっていますがそれこそ10年単位の月日を要している感じになります。

Googleも人材集めにかなり力を入れているみたいですがAppleのAチップのようになるにはまだまだ時間を要する可能性がありそれまでに莫大な開発費が必要になる可能性もあります。

何よりDimensity9400を見ている限りだとGemini Nanoをサポートしていることに加えパフォーマンス自体はそもそもGoogle Tensor G4より圧倒的に高い可能性があります。

Googleはベンチマークでハイスコアを獲得するためのチューニングをしていないとされていますがリークしているベンチマークをみる限り搭載機種であるvivo X200 Proは300万点前後です。

ちなみにPixel 9 Pro XLがめっちゃ良くても130万点前後なのでCPUとGPUの面で見れば2倍以上の差がついていることになりユーザーとしてはDimensity9400やSnapdragonなどゲームもしっかり出来た上でAI性能もそれなりに使えるSoCの方が良いと思っちゃうと思います。

少なくとも音声消しゴムマジックや一緒に写るなどPixelにしかない専用機能もありますがキラーコンテンツと言えるかとなった時に微妙で使用頻度が高いユーザーは限定的だと思います。

一方でPixel 9シリーズの発表をみると最大の特徴はGeminiですがAndroidに広く解放されています。そのため状況によってはDimensity9400やSnapdragon 8 Eliteを搭載した機種の方が処理速度が速いという逆転現象も今後発生してくる可能性があり正直何ともという感じです。

Appleで見ればAチップやMチップの開発でiPadやMacにApple Watchなども恩恵を受けています。

一方でGoogleの場合は初期段階というべきなのかPixel Buds Pro 2くらいしか恩恵がないです。Pixel Tabletに関しては今後どうなるのか不明でPixel WatchはSnapdragonを採用しています。

またAppleのように幅広い製品ラインナップを持っているわけではなく現状だとスマホのために独自SoCを開発しているという感じでGoogleの内部でも継続するべきか意見が分かれているとの話があります。

一時期はAppleのVision Proのようなデバイスを開発していたみたいでGoogle Tensorを搭載していたみたいですが開発はすでにキャンセルされたと言われておりと広がりが欠けました。

またAI以外の部分で独自SoCを持つことでどれだけ独自SoCを持つことにメリットがあるのか不明です。例えばSnapdragon888が発表された頃GoogleとQualcommが共同開発したことでメジャーアップデートが3回にセキュリティアップデートが4年に対応したとアピールしました。

一方で今はどのような仕様になっているのか独自SoCのPixelならまだしもSnapdragonを採用したGalaxyの一部機種でも最大7年のアップデートに対応するなどメリットが薄くなった感じです。

Appleのようにソフトからハードまで一貫して開発すれば自分たちの理想を実現しやすい可能性がありますが現状だとメリット部分が薄く他社と比較してデメリット部分が強く見えてしまいます。

Google Tensor G5の重要性。

個人的にはゲームをやらないためベンチマークに固執しない今の方針はありだと思います。正直300万点の機種と100万点の機種を比較しても自分の使い方なら違いを体感しにくいです。

一方でGoogle Tensor G4でチューニングを強化した結果アプリの応答速度やウェブのパフォーマンスが20%弱改善した結果動作性が全体的に滑らかになった方がよほど嬉しいです。

ただ正直なところGoogle Tensorを継続しないとGoogleがやりたいことを継続できないのか非常に気になるところでDimensityやSnapdragonでどの程度実現することができるのか。

少なくともGoogleが追加したい新機能を既製のSoCで実現するのは難しい可能性もあります。なので結果的に独自SoCをやめたとしてもQualcommやMediaTekとある意味共同開発してチューニングを行なっていく必要があるかもしれませんがユーザーからの印象は変わると思います。

個人的にXperia 1Ⅵのチューニングは理想に近くゲームの動作性を担保しつつもSoCにフルパフォーマンスは発揮させないようにした上で発熱を抑制しつつ電池持ちは大幅改善しています。

Googleは2025にはより大言語モデルをAndroidに対応させたいことを明らかにしています。このことを考えると既製品では難しくGoogle Tensorという存在は非常に重要なのかもしれません。

単純に考えればGemini Nanoより高度な言語モデルが統合される可能性があることになります。なのでSoCとしてのパフォーマンスを底上げするためにSamsung製からTSMC製に変更するのかもしれません。

とはいえDimensity9400やSnapdragon 8 EliteはGoogle Tensor G5と同じくTSMCの3nmプロセスノードにパッケージング技術と外側の部分はほとんど一緒になる可能性があります。

現時点ではGoogle Tensor G5のアーキテクチャがリークしていないため何ともですがDimensity9400のようにオールビックコア戦略を採用するのかSnapdragon 8 Eliteのようにオリオンコアの採用とアーキテクチャを刷新した上でクロック数をかなり高めにするのか不明です。

少なくともGoogleが独自SoCを継続している意味をAI以外の部分でもっとも分かりやすいといいと思います。例えば独自SoCを搭載しているからアップデートサポート期間が長いとかこんな新機能があるとかAIがもっと一般化するまでの辛抱なのかもしれませんが当面は批判の声が続きそうな感じです。

まとめ

今回はGoogleは独自SoCを継続する必要があるのか主観的にまとめてみましたがベンチマークスコアはもうちょっと頑張って出るようにして無意味な批判の声は減らしてほしいです。

何よりGoogle Tensor G5で独自SoCを継続している意義をしっかり提示してほしいところです。

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