Xperiaにもう余力はない。コンセプトは優秀なのにタイミングはいつも悪い

2023年の国内市場においてSonyは前年対比で出荷台数が40%減少と非常に厳しい状況になっています。またアナリストによると国内でPixelが売れれば売れるほどXperiaは厳しくなると指摘しています。

一方でSonyのコンセプトは素晴らしいと思いますがタイミングが悪いようにも感じます。今回はXperiaが時代を先取りし過ぎて、いつもタイミングをはずしていると思うので主観的にまとめたいと思います。

スマホで映画を見る未来。

Xperia 1Ⅵではユーザビリティの改善を中心とした進化をさせた結果スペックでみれば一般化しています。そのため以前のような面白みはなくなりましたがスマホとしては分かりやすくなったと思います。

一方で素人目線でみるとXperia 1ⅤとXperia 1Ⅵではコンセプトが異なるように見えます。ただSonyによるとクリエイターと共に作り上げた機種だからこそ命名規則を継続したとの話です。

何より現行シリーズになってから面白いと思う一方で時代を先取りし過ぎた印象を受けます。

一つ目の理由としてXperia 1Ⅵは該当しないですがアスペクト比21:9に4Kに対応したことです。アスペクト比21:9を初めて採用したXperaは2019年に登場したXperia 1とXperia 10です。

2019年といえば折畳式機種元年とも言われておりGalaxy FoldとHuawei Mate Xが正式発表されました。そして韓国や中国など一部市場では5Gが開始しており国内でみれば2020年3月より開始しました。

5Gの開始によってスマホでも大容量かつ高速通信が可能になり動画などのニーズが増えると予見することができます。そのためSamsungやHuaweiはおそらくですが大画面でコンテンツを楽しみたいというニーズに応えるために折畳式機種を出した可能性があり一方でSonyは映画により力を入れてきた印象です。

自社グループで映画を作っていることもありますがコンテンツの最上位として映画があり今後スマホで映画をもっと楽しむ時代がくると判断してXperiaで最適化を進めた可能性があります。

ただ残念なことに5Gは期待されたほど通信速度がでるわけでもなく対応エリアも限定的でした。

今では都心かつミリ波対応エリアであればかなりのスピードが出ますが5Gが開始してから4年近く経過した感じでiPhoneに関してはいまだ国内でミリ波対応モデルが展開されていません。

またPixel 9シリーズではPixel 9 Pro Foldのみ対応とミリ波対応機種は限定的です。またユーザー次第だと思いますが映画など尺が長いコンテンツよりもTikTokやshortなど縦UIかつ短尺動画の方がニーズが高い印象でSonyの期待した未来にならなかった可能性があります。

またスマホ程度のディスプレイサイズだと4Kに対応しても識別出来ないと否定的な声も多く表示解像度が高いことからディスプレイ輝度が暗くなりがちで消費電力もかなり多いです。

なので他社と比較して異質な方向に進化してしまったとの評価が多かった印象を受けます。結局TikTokなどもアスペクト比21:9の弊害としてコンテンツによっては両端がきれます。

実際のところ不明ですがXperia 1Ⅵではコストの問題からアスペクト比21:9/4Kのディスプレイを継続することが出来ずアスペクト比19.5:9/FHDの普遍的なスペックに変更したとも言われています。

YouTubeですら通信容量を節約するためにFHD以下の解像度で見ている人が多いことも判明しています。今後利用料金がもっと安くなれば変わるのかもしれませんがSonyが描いた映画が主役になることはないのかもしれません。

スマホで映画を撮る未来。

2つ目の理由としてSonyはスマホメーカーの中で唯一カメラを開発しているメーカーです。またSonyとしてはαシリーズに興味を持ってもらえるようにするためかXperiaのカメラはスマホらしさを求めるのではなくαユーザーからのフィードバックを元に進化させています。

そのためcinema ProやPhoto Proなどマニュアル撮影を主軸とした専用アプリを搭載しています。さらに全画角での4K/120fps撮影やリアルタイムトラッキング機能にバースト撮影に対応などフォーカス速度が速く何より動体の撮影にかなり強いですがこれはプロが求めることの一つです。

個人的には子供を撮影する時に重宝していますが多くのユーザーはそこまで求めないです。また現実をより忠実に撮影するというコンセプトは良くも悪くもユーザーの評価が分かれます。

今やSNSで映える分かりやすい写真が求められがちの中でXperiaは加工感が控えめです。

またXperia 1Ⅴから対応したとはいえコンセプトが足枷になって長らくナイトモードに非対応でした。Sonyとしてはαユーザーのセカンドカメラを目指したみたいですが多くのユーザーにとってはスマホだからこそオートで簡単に分かりやすいという写真や動画撮れた方が良かったのかもしれません。

このニーズに応えることができなく多くのユーザーにとって使いにくいという印象になってしまった可能性があります。またCinema Proに加えXperia PRO-Iの存在などスマホで映画を撮ることを目指していた可能性がありますがスマホで映画なんて撮るはずがないと否定的な声もかなり多かった印象を受けます。

何より映画をより身近に撮れるようにするために専用アプリや4K/120fps撮影の強化など。

またXperia 1Ⅴからカメラを最優先としたデザインを採用しておりカメラキーが本体横持ちで使うことが想定されているためグリップ力が強化できるようにサイドフレームにスリットを採用しています。

さらにバックパネルは独自コーティングを採用すすることで光の乱反射を抑制しています。それくらいカメラを優先しながらもXperia 1Ⅵでは専門的なカメラアプリが一つに統合されてしまいました。

さらにマニュアル撮影からオート撮影が主軸となっておりバースト撮影も使いにくくなった印象を受けます。

素人目線でみれば従来の拘りを諦めたようにも見えますがAppleがiPhone 16シリーズでシネマライクに強化しており4K/120fp撮影やカメラコントロールの搭載とある意味似ています。

ただiPhoneで対応したことからも市場の反応はポジティブという感じで今後流れが変わるかもしれません。直近の情報だとカメラ専用ボタンを今後追加する機種が増えると言われておりXperiaは専門性を捨てるように見える中で市場は今後専門性をより強化してくるようにも見えます。

Xperiaにそこまでの影響力がないともいえますがタイミングが悪いようにも見えてしまいます。今後Appleが映画方面をさらに強化するのであれば4Kに対応なんてこともあるかもしれません。

コンパクトモデルの未来。

最後に3つ目としてハイエンドコンパクトモデルを安定的に出せない可能性があることです。現行シリーズに移行してからSonyは毎年ハイエンドコンパクトモデルであるXperia 5シリーズを出してきましたが2024年には新型を発表することがないことをSonyが明らかにしています。

これはXperia Zに移行した2013年から下半期に新製品を出さなかったのは初めてだと思います。半導体不足の影響をもろに受けた2021年ですら最新機種を出したことを考えると今年は異常です。

少なくともSonyによるとモバイル部門は収益性も悪ければ成長性がないこと明らかにしています。ただ存続するためには利益率を改善させる必要がありラインナップの削減に繋がった可能性があります。

そして一部情報によると今年の4月頃からSonyはXperia 5シリーズの開発を中国企業へ委託したとされています。

結局Xperia 5シリーズは存続させたいけど自社で開発する余裕がないから外部委託の流れなのかもしれません。実際外部委託になった場合どこまでSonyが開発に関与できるのか不明ですが仮に同じ命名規則だとしても来年登場するXperia 5シリーズはデザイン含めて別物になる可能性があります。

また中国企業であればコスパを意識した製品設計になる可能性があるので大型化する可能性もあります。少なくともXperia 5シリーズと別扱いの機種にすれば現行モデルのサイズ感に拘る必要もないです。

何より大型化した方がコストカットもしやすいので委託先も開発しやすい可能性があります。

一方でPixel 9 Proの登場など今後ハイエンドコンパクトモデルの選択肢が増える可能性があります。GoogleによるとAndroidのシェアを回復させるためにプレミアム部門でiPhoneに対抗する必要があり、その中でGoogleはiPhone 16 Proと真っ向勝負になるPixel 9 Proを用意した可能性があります。

また執筆時点では正式発表されていませんがvivoは6.3インチのディスプレイを搭載した新たな小型のProモデルであるvivo X200 Pro miniを発表予定でiPhoneと真っ向勝負になる可能性があります。

中国市場でAppleは急激にシェアを落としている中でvivoは直近で見れば1位を獲得しています。その中でAppleからよりシェアを奪うためにラインナップを強化したと推測することができます。

何よりリーカーによるとvivo X200 Pro miniのようにハイエンドコンパクトモデルの開発を考えているメーカーは現状だとvivo含めて2社いるとしており売れ行き次第では中華メーカーが追従する可能性があるのでハイエンドコンパクトモデルの選択肢が増えるかもしれません。

少なくともvivoでみると採算性の悪いコンパクトモデル扱いにするのではなくあくまでも上位モデルであるvivo X200 Proをベースにすることで価格が高くなっても問題ないです。

またバッテリー技術の進化でハイエンドコンパクトモデルが抱えていたデメリットを技術的に改善できるようになってきたからこそハイエンドコンパクトモデルに積極的なのかもしれません。

少なくとも来年に向けてハイエンドコンパクトモデルの選択肢が増えていく可能性がある中でSonyはハイエンドコンパクトモデルを安定して出せない状況となっているのが残念です。

実際にどうなるのか不明ですがラインナップにおいてもタイミングが悪いと感じてしまいます。

まとめ。

今回はXperiaのタイミングが他社と比較してもめちゃくちゃ悪いように感じるのでまとめてみましたがSonyが以前から頑張って継続してきたけど息切れして継続が厳しい状況に見えます。

なったタイミングで市場ではトレンドになる可能性があると残念な感じになっています。Sonyが来年のXperiaでどのような進化をさせるのか不明ですが一般化を意識するのであれば今まで以上にトレンドを意識する必要があるので難しくなってくるかなと思います。

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