直近の情報からもGoogleはTSMCと交渉を重ねた結果今後数年に渡ってTSMCに依頼することが確定したと言われています。何よりPixel 10シリーズが搭載するGoogle Tensor G5の完成度が今後の命運を占う可能性が十分にあります。
今回Android AuthorityがPixel 11シリーズが搭載するGoogle Tensor G6のプロセスノードについて言及しているのでまとめたいと思います。
世界最先端技術を採用。
Google Tensor G5はTSMCの3nmプロセスノードに加え新しいパッケージング技術を採用すると予測されています。少なくともSoCの箱部分だけでみても処理性能や電力効率が大幅に改善される可能性があります。
さらにGoogleはCPUのアーキテクチャに加えGPUも刷新と全面的な大刷新になる可能性があります。単純に考えれば歴代Google Tensorが抱えていた課題を改善できる可能性があります。
一方で一部情報通りであれば8月に正式発表が予測されているPixel 10シリーズはすでに開発が終了していると考えるのが妥当です。つまりGoogleは来年登場するPixel 11シリーズとGoogle Tensor G6の開発に着手している可能性が高いと思います。
むしろSoCは一般的に16ヶ月周期で開発しているとも言われているのですでにGoogle Tensor G6はほぼ完成している可能性もあります。その上で今回の情報によるとGoogle Tensor G6はTSMCの2nmプロセスノードを採用すると予測しています。
ちなみに海外サイトによると2026年に登場するライバルメーカーのSoCは3nmを継続と指摘しています。そのためGoogle Tensor G6は2nmプロセスノードを採用できれば他社に牽制できる可能性があると指摘しています。
事前情報との矛盾。
ただ今回の情報は以前リークした情報と比較するとだいぶズレが生じている印象を受けてしまいます。以前リークしたGoogleの内部ドキュメントからもGoogle Tensor G6でも3nmプロセスを継続すると予測されています。
ただアーキテクチャは刷新されメインコアには超大型となるCortex-X930を1つ搭載するとの予測です。そして高効率コアは完全に廃止になりCortex-A730を6つ搭載と全部で7コア構成と異質です。
Tensor G3 | Tensor G4 | Tensor G5 | Tensor G6 | |
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Big cluster
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1x Arm Cortex-X3
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1x Arm Cortex-X4
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1x Arm Cortex-X4
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1x Arm Cortex-X930
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Mid cluster
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4x Arm Cortex-A715
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3x Arm Cortex-A720
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5x Arm Cortex-A725
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6x Arm Cortex-X730
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Little cluster
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4x Arm Cortex-A510
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4x Arm Cortex-A520
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2x Arm Cortex-A520
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興味深い部分としてCortex-X930にしろCortex-A730もDimensity9500が採用するとの予測です。Google Tensor G5はメインコアにCortex-X4を採用すると予測されておりDimensity9300やExynos2400にSnapdragon 8 Gen 3など2世代古いですがGoogle Tensor G6はその差が縮小されるのかもしれません。
ただDimensity9500はCortex-X930を3つ搭載しているとの予測なので処理性能は大きく異なると思います。何より2026年に登場するSoCの中でトップクラスにはなりませんが時代遅れ感はかなり減るとの話です。
またweiboで有名なリーカーであるDigital Chat Station氏によると2026年に登場する次期SoCは2nmプロセスノードを採用することで一気にコストが増加することに言及しています。
事前情報と直近のリーカーの発言を考慮すればGoogle Tensor G6で2nmを採用するか微妙な感じです。実際にGoogleが計画を変更した可能性もありますが今回の情報はあまり鵜呑みに出来ないです。
コスト爆増の流れ。
何よりリーカーによるとTSMCは今年の後半から2nmプロセスノードを採用した半導体の製造が可能だったことを指摘しています。ただQualcommやAppleなどはコストの高さからも来年に見送ったことに言及しています。
今回の情報通りであればGoogle Tensor G6で2nmプロセスノードを採用すればコストがやばいことになりそうです。一部情報によるとGoogle Tensor G5の時点でTSMCに変更したことが原因かコストオーバーとの話です。
以前リークしたドキュメントからもGoogleが半導体事業を継続するにはTensorのコストは$60前後目安になっていると言われていますがGoogle Tensor G4は$80と言われており現時点でオーバーしていることになります。
さらにTSMCでコストが増加することを考えるとGoogle Tensor G5は$100を超える可能性もあります。だからこそかGoogle Tensor G5に統合されるGPUではレイトレーシングやGPUの仮想化に対応すると予測されていますがGoogle Tensor G6はSoCのダイ面積を小型化するためにカットされるとの予測です。
Googleがレイトレーシングなどをそもそも実装しないから無駄になっているとも考えることが出来ますがGPU本来の機能を削ってまでコストカットすることを考えると割と深刻になります。
その状況の中でGoogle Tensor G6で2nmプロセスノードを採用したら笑えないことになりそうです。
2nmならPixelだけ値上げの可能性。
単純に考えればSoCのコスト増加分を他のコンポーネントで吸収するのは難しいのかなと思います。そうなると本体価格の値上げに繋がる可能性があり多くのユーザーが望まない流れになります。
記憶違いだったら申し訳ないですがSnapdragon 8 Elite 2は2つのバージョンがあると予測されています。従来の通常版とリーディング版みたいな形になるのかもしれませんがリーディング版をシリーズ通して採用するのはコストの問題から厳しいと言われており最上位モデルのみ採用と予測されています。
3nmプロセスノードの時点でコストがやばい中で2nmプロセスノードの採用はかなりのリスクになる可能性が高いです。逆に事前情報通りであれば来年登場するSoCの多くが2nmを採用することでコスト爆増の中で今回の情報だとGoogle Tensor G6が2nmを採用でPixelだけ値上げの可能性と真逆になることに。
正直2nmプロセスノードを採用してもほとんどのユーザーはメリットよりデメリットがデカいです。
チューニングが重要。
現時点でGoogle Tensor G5の実力が不明ですが単純に考えれば安定率が改善する可能性があります。先日にはPixel 10の一部スペックが判明しましたが現行モデルと同じくペイパーチャンバーが非搭載だと予測されています。
Pixel 9aですら搭載したことを考えるとGoogle Tensor G5はGoogle Tensor G4対比でそれだけ安定しているとの裏返しと捉えることもでき現行モデルとチューニング方法も異なるかもしれません。
現行モデルは発熱抑制と電力効率改善を優先して出来るだけソフトで押さえ込んでいる印象です。これがSoC自体の改善で無理に押さえ込まなくなるだけでもパフォーマンスはかなり伸びる可能性があります。
ネットの声を見ているとベンチマークスコアは200万点弱になれば批判はかなり減る印象です。
Google Tensor G5のアーキテクチャだけで見ればSnapdragon 8 Gen 3に近いので潜在的には200万点近くいってもおかしくなく一部情報によるとGoogle Tensor G4対比でみても60%近く改善するポテンシャルがあるとも言われているのでGoogleのチューニングに期待です。
AIの大幅な強化に期待できず。
一方でGoogleはAIをPixelにブレイクスルーするためにGoogle Tensorに移行したとの話です。ただGoogle Tensor G4対比でGoogle Tensor G5はNPUが14%程度の改善になるとの指摘です。
この14%という数字がすごいと考えるべきかしょぼいと考えるかユーザー次第なのかなと思います。ただ例えば現在そのほとんどをオンラインで処理している動画ブーストをGoogle Tensor G5を搭載したPixel 10シリーズがオフラインで処理できるような強化にはならないかなと思います。
またGemini Proを使っている編集マジックに関してもGoogle Tensor G5では厳しいと思います。あくまでも素人目線でみればAIの強化といってもどこまで貢献しているのかよく分からないです。
結局Snapdragonを搭載しているGalaxy S25がGalaxy AIで似たようなことを出来ています。
なのでGoogleはGoogle Tensor G5で節目にするならしっかり説明してほしいと思っちゃいます。またハード面では進化に期待できるGoogle Tensor G5ですがソフト面への影響は何ともです。
自分は詳細な知識を持ち合わせていませんが海外サイトによるとアプリの最適化に影響が出る可能性があります。ちなみにXiaomiは先日独自SoCを発表しましたがアプリの最適化は追いついていないとの話です。
だからこそ現状だと独自SoCを搭載しているのは中国でしか発売を考えてない機種のみです。また今までになかった不具合やバグが発生する可能性があるので手放しで喜べない可能性もあります。
何よりGoogle Tensor G5の完成度次第では今後のPixelの評価に大きな影響を及ぼす可能性があります。
Snapdragonがもう当たりとは言えない。
いまだにSnapdragonを搭載すべきだとの声も聞きますが以前と比較するとそこまでいいSoCなのか疑問に感じます。
もちろんメーカーのチューニング方法次第ですがSnapdragon 8 Eliteを搭載しているOppo Find X8 UltraよりDimensity9400を搭載しているOppo Find X8 Proの方が発熱がかなり抑制されている上に自分の使い方だと電池持ちも安定しているので満足度が高いです。
ここ数年でDimensityの完成度が高くなったこともあると思いますがSnapdragonを搭載しておけば必ずしも正解という印象はなく結局はメーカーのチューニングが一番重要に感じます。
GoogleがGoogle Tensorで何をしたいのかよく見えなくなってきたからこそTSMC製に切り替わるGoogle Tensor G5ではユーザーがわかるようにしっかりアピールしてほしいです。
一方でユーザーがおいてきぼりの状態で2nmプロセスノードの採用したりベンチマークスコアが高くなったとしても評価されにくいと思っておりGoogleには間違えないでほしいかなと思います。