Tensor G6の詳細判明。次期Pixelは電池持ちと発熱改善が最優先

先日にはGoogleの内部関係者からの情報なのか次期Google Tensorのドキュメントがリークしました。そして海外サイトがこのドキュメントからGoogleが今後何をしたいのか読み解いてリークしている感じになります。

また次期Pixelで重要となってくるGoogle Tensorの仕様まで明らかになっています。今回Android AuthorityによるとGoogle Tensor G6の一部仕様が判明したのでまとめたいと思います。

アーキテクチャが判明。

少なくとも半導体の開発期間は16ヶ月前後の周期と言われておりPixel 10シリーズが搭載するGoogle Tensor G5の開発は大方終了している可能性がありPixel 11シリーズが搭載するGoogle Tensor G6の開発がすでに開始していてもおかしくないという状況にあります。

まずGoogle Tensor G5はTSMCのN3Eが採用されますがGoogle Tensor G6ではN3Pを採用すると予測されています。同じくTSMCの3nmプロセスノードですが処理性能や電力効率の改善に期待することができます。

そしてCPUから確認していくと現時点で未発表となるCortex-X930をメインコアに採用しています。これはDimensity9400がメインコアに採用しているCortex-925の後継に該当する可能性があります。

今回の情報ではクロック数は不明ですがGoogle Tensor G6では超大型コアを採用する可能性があることになります。

CPU Tensor G3 Tensor G4 Tensor G5 Tensor G6
Big cluster
1x Arm Cortex-X3
1x Arm Cortex-X4
1x Arm Cortex-X4
1x Arm Cortex-X930
Mid cluster
4x Arm Cortex-A715
3x Arm Cortex-A720
5x Arm Cortex-A725
6x Arm Cortex-X730
Little cluster
4x Arm Cortex-A510
4x Arm Cortex-A520
2x Arm Cortex-A520

またGoogle Tensor G5は採用するコア自体は大きく変えないですが高効率コアを減らしてミドルコアを増やしながらも全体的にクロック数を上げることでパフォーマンスの改善を狙っている可能性があります。

一方でGoogle Tensor G6に関してはDimensity9400のように高効率コアが廃止になります。そしてミドルコアにCortex-X730を6つ搭載することで全体的に見れば7コア構成になると予測しています。

少なくとも海外サイトによると高効率コアが廃止されミドルコア以上しかないですが全部で7コア構成であることからGoogle Tensor G5より劇的に改善するとは考えにくいと指摘しています。

現時点ではクロック数などが分からないため判断出来ませんがアーキテクチャで見れば異質です。少なくともSnapdragonやDimensityと比較すればパフォーマンスの差がさらに広がる可能性があります。

そしてGPUを確認していきたいと思いますがGoogle Tensor G5ではMaliからIMGに変更されます。この流れはGoogle Tensor G6でも継続するとしておりIMGのCXTを採用すると予測しています。

GPU
Tensor G4
キャンセルされたG4
Tensor G5
Tensor G6
GPU
Arm Mali-G715 (7 cores)
IMG CXT (3 cores)
IMG DXT (2 cores)
IMG CXT (3 cores)
Frequency
900 MHz
?
1100 MHz
1100 MHz
Ray tracing
Not supported
Not supported
Supported
Not supported
GPU Virtualization
Not supported
Not supported
Supported
Not supported
Die area
14.7 mm^2 (4LPE)
14.82 mm^2 (N3E)
16.6 mm^2 (N3E)
14.1 mm^2 (N3P)

そもそもGoogleはGoogle Tensor G4でレイトレーシングに対応したIMG EXTシリーズを採用したかったみたいですが開発の遅延からも採用を見送った経緯があると指摘しています。

そしてGoogle Tensor G6では本来Google Tensor G4で採用したかった構成になるとの予測です。つまり真のGoogle Tensor G4のGPUがGoogle Tensor G6で実装されると予測しています。

ただレイトレーシング非対応のCXTシリーズを採用としており3コア構成で1.1GHzで動作するとの予測です。

何よりGoogle Tensor G5で対応するレイトレーシングとGPUの仮想化は両方とも非対応になる可能性があります。そのためCPUは劇的なパフォーマンスの改善を期待することが出来ずGPUに関しては一部オプションが削除されるためユーザーにとってはダウングレードになる捉えることが出来ます。

何よりGoogle Tensor G6はマイナーアップデートモデルになる可能性が高いと思います。

発熱の抑制と電池持ちの改善。

少なくともGoogleはGoogle Tensor G5とGoogle Tensor G6での方向性は一貫しています。一つ目の理由としては搭載機種自体の発熱を抑制することにでかなり尽力しているとの話です。

Pixelがユーザーから返品される最も多い理由が発熱のしやすさであることをGoogleも認めています。このことからもパフォーマンスよりも発熱抑制を中心に内部設計している可能性があります。

そのためSnapdragon 8 Eliteのようにクロック数の高い超大型化コアを採用したりDimensity9400のようにビックコア戦略も採用せず発熱抑制の方が絶対的な優先事項になっている可能性があります。

少なくともGoogle Tensor G5を見ると最新のアーキテクチャを積極的に採用する感じではないです。クロック数を全体的にあげればパフォーマンスは改善しますが消費電力も増えるため発熱します。

ただGoogleはTSMCのN3Eと新しいパッケージング技術の採用で電力効率の改善を狙っている可能性があります。

またプロセスノードが進化すればパフォーマンスも改善するため何方かと言えばプロセスノードを中心としたパフォーマンスの改善がメインで発熱に対してかなりシビアになっている印象です。

またGoogle Tensor G6に関しても高効率コアは想定ほど優れていないからこそカットした可能性があります。

クロック数が分からないため何ともですが超大型コアを採用する理由はパフォーマンスの改善がメインではなく超大型コアに余裕を持たせたチューニングを採用することでパフォーマンスをある程度維持しつつ電力効率の改善で結果発熱の抑制に繋げたいようにも見えます。

また歴代Pixelの大きなデメリットとして電池持ちの悪さで発熱と同様に最優先事項との話です。どのような条件なのか不明ですがGoogleとしては36時間持つバッテリーの実現が目標としています。

ちなみにPixel 9シリーズは公式サイトを確認すると24時間以上持つ電池持ちと記載しています。これを36時間に変えたいという話なのか不明ですが電池持ちの改善も重要だと認識しています。

個人的にはあまり嬉しくないですがPixel 9 Pro Fold以外のPixel 9シリーズは歴代で最長となるスーパーバッテリーセーバー状態で100時間の電池持ちを実現しています。

ただ制御すればどのメーカーの機種であっても電池持ちが良くなるのは当たり前という話です。多くのユーザーは制御なしでの電池持ちの良さを求めるため36時間に強化するなら嬉しいところだと思います。

何よりPixel 4シリーズの時にあまりにも電池持ちが悪いことから幹部が失望したとの話もあります。またGoogle Tensorに移行してから大きな課題となっておりPixel 9シリーズでようやく安定しています。

それをGoogle Tensor G5やGoogle Tensor G6でさらに飛躍させたい可能性があります。何よりGoogleとしては電池持ち/発熱抑制/AIパフォーマンスのバランスが最優先の可能性があります。

また発熱と電池持ちの改善でブランドロイヤリティの改善に繋がる可能性があるとの話です。やはり多くのユーザーにとって安定性は重要なのでここに力を入れるのは納得です。

コストカットも重要。

そして2つ目の理由として独自SoC事業を継続するためにコストカットを意識している可能性があります。自分はこの手の知識がないためなんともですがGoogle Tensor G5はGPU部分が大型化しています。

同じプロセスノードを採用したA18 Proが105mm2に対してGoogle Tensor G5は121mm2とデカいです。半導体自体がデカいとなると結果コストが上昇すると言われておりGoogle Tensor G6ではレイトレーシングやGPUの仮想化がカットされる理由はGPU部分の面積を小型化するためだとしています。

つまりGoogle Tensor G6ではコストカットのために一部機能が削減されることになります。少なくともドキュメントからGoogleはGoogle Tensorにおける目標を達成していないとの話です。

今回の情報によるとGoogle Tensorに切り替えた一つの狙いとしては潜在的なコストの低さだとしています。その上でGoogle Tensor事業を今後継続するためにもコストは$65前後が理想との話です。

ちなみに先日の情報からもGoogle Tensor G4のコストは$80前後であることが判明しています。アーキテクチャ自体は変更されていますがプロセスノードはほぼ一緒でパッケージングも一緒と超マイナーアップデートになっているのでGoogle Tensor G4対比でコストだけ爆増しても困るところです。

そしてiPhone 16 Proシリーズが搭載しているA18 Proに関しては$135のコストとの話です。ちなみにDimensity9400は何度か価格改定が行われたことからも$160前後と言われています。

一方でSnapdragon 8 Eliteに関しては$190前後とフラグシップ向けの中では圧倒的です。何よりSnapdragon 8 Eliteクラスのコストになるとエントリーモデルが買えるレベルです。

ちなみにSnapdragon 8 Gen 3は$170前後と言われているのでやはり高いことに違いはないです。何より今回の情報通りであればGoogle Tensor G4の原価コストはかなり安いことになります。

ただそれは他社と比較した場合の話であってGoogleの目標はオーバーしていることになります。また注意点としてこれらコストは製造原価であって研究開発費などは含まれていません。

少なくともSnapdragon 8 Eliteなどをみる限りだとTSMCの3nmプロセスノードを採用した半導体のコストは$130前後くらいでメーカーの研究開発費をのせて$170前後になるのかもしれません。

AppleのAチップは以前よりコストが安いと言われている中でA18 Proでは$130まで上昇しています。このことを考えるとやはりTSMCでの製造コストが大幅に上昇している可能性があります。

そうなるとGoogle Tensor G5でコストが爆増しそうで目標達成は遠くなりそうな感じです。ただ今後Pixelの売れ行きが増加すれば規模の経済からもトータルコストは下がる可能性があります。

何より現状だとGoogle Tensorにこれ以上のコストはかけられない状態に追い込まれているかもしれません。ただ他社を採用するともっと高くつく可能性があるのでGoogleとしてもジレンマなのかもしれません。

まとめ。

事前情報からもPixel 11シリーズでは100倍ズームに対応することに加え望遠センサーが刷新されると予測されています。さらに夜景動画モードはついにオフラインで処理することが可能になるとも予測されています。

あくまでもGoogleがやりたいことを実現しつつ発熱抑制と電池持ち改善のチューニングを強化する可能性が高いと思います。それでブランドロイヤリティを改善しつつ全体的な底上げ今後進めていく可能性があります。

何よりユーザーが期待しているようなベンチマーク重視の進化を遂げることはないと思います。少なくともほとんどのユーザーはベンチマークより安定性の改善の方が恩恵が大きいと思います。

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