新機能は追加させにくい。Pixelが最大7年のアップデートに対応できた理由

GoogleはPixel 8シリーズからAndroid最長となる最大7年のアップデートサポート期間に対応しました。何より長らくiPhoneにアップデートサポート期間の長さでは負けていましたがついにひっくり返した形になります。

一方でSamsungに関してもGalaxy S24シリーズから最大7年のアップデートサポートに対応してきています。今回はAndroid AuthotrityによるとGoogleがどのようにアップデートサポート期間を拡張したのか言及しているのでまとめたいと思います。

SoCのチューニング。

Snapdragon888が正式発表された際にGoogleはQualcommと協力して開発を進めたことから当時Androidでは最長となるメジャーアップデート3回にセキュリティ4年に対応したとアピールしています。

ただその後にSamsungはSnapdragonを採用しながらもメジャーアップデートが4回にセキュリティが5年とサポート期間を拡張して現時点では最大7年に対応と一気に拡張した印象を受けます。

逆に一般ユーザーからすればどうやってアップデートサポート期間を伸ばしたのか気になるところです。まず初めにこの手の情報に対して自分は完全な素人なので予めご了承下さい。

その上で確認していきたいと思いますがGoogleは2020年にGRFというプログラムを開始しました。ざっくり言えばQualcommのなど半導体メーカーが3年間のAndroidOSアップデートサポートを簡単にサポートできるようにするためのもので第一弾がSnapdragon888だった可能性があります。

一方でGoogleがより多くのメーカーにアップデートを積極的に提供してほしいことからもProject Trebleを2017年から開始していましたが残念なことにこの問題を踏襲している形になります。

少なくともProject Trebleに基づいたGRFはAndroidをモジュール化してフレームワークを下位レベルのベンターから分離させたことでスマホメーカーはアップデートの提供が簡素化されました。

一方で半導体メーカーからするとSoCを開発した時のベースにしたAndroidのバージョンと実際に搭載機種が発売される時のAndroidのバージョンの両方をサポートしなければいけないです。

例えば2024年で見ればAndroid14を標準搭載している機種もいればAndroid15を標準搭載している機種もいるため両方のバージョンに対応する必要があるためSoCを開発するにあたって複雑さが増していたことからGoogleもこれは問題だと認識していました。

そのためSoCが構築された元のベンダーソフトでOSアップデートを出荷できるにようになりました。

基本的にメーカーは半導体メーカーのベンダーソフトウェアをAndroidの複数のバージョンで再利用してもGoogleからの認証を受けることが可能になっておりQualcommなどからすれば少なくとも3年間は新しいベンダーソフトウェアを満たすために更新する必要がなくなるのがメリットです。

何よりGRFのお陰でベンダーソフトウェアと複数のAndroidのバージョンの組み合わせをサポートするための開発費用を削減することが出来るという大きなメリットがあります。

Longevity GRFの登場。

一方でGRFだとPixelの最大7年のアップデートサポートに対応するためにメーカーは半導体メーカーに対して延長サポートを支払うか足りない分のベンダーソフトウェアを更新するための莫大なコストを負担する必要があるためメーカーにとってはデメリットになります。

そのためGoogleはLongevity GRFをという新たなプログラムを提供するようにしました。Longevity GRFを使用することで最大の7つのバージョンにおいてベンダーソフトウェアを再利用することが可能になります。

例えばAndroid15用に構築されたベンダーソフトウェアであればAndroid16からAndroid22まで再利用が可能になります。ちなみに先日発表されたSnapdragon 8 EliteはLongevity GRFに対応した最初のSoCです。

つまりSnapdragon 8 Elite搭載機種はメーカーにとって最大7年のアップデートを提供しやすいことになります。ただ当たり前の話ですが実際に7年のアップデートを提供するかはメーカー次第になります。

一方で注意点もありGoogleがLinuxカーネルフォークのサポートを最大4年のみとしていることから例えばメーカーがSnapdragon 8 Eliteを搭載機種を発売した場合3年後にはLinux カーネルバージョンをアップグレードする必要があります。

アップグレードを最低でも1回はしないとセキュリティパッチのアップデートでも脆弱性を完全にカバー出来なくなる可能性があります。

少なくともLongevity GRFによって最大7年はベンダーソフトウェアを再利用できるのが大きなメリットになりますがデメリットとして新しいAndroidのバージョンで追加されたかつ新しいハードウェア前提の新機能をサポートすることは推奨出来ない状況にあるとしています。

例えばAndroid12で追加された2GトグルやAndroid13で追加された懐中電灯輝度APIをサポートするためにベンダーソフトウェアの更新が必要になるとベンダーソフトウェアの再利用がGRFの大きな特徴である一方で新機能を利用するには結局更新が必要なので恩恵が減ります。

素人からすれば表面的なことはなんとなくは分かりますが実際にはもっと難しいと思います。少なくとも今回の情報を見ると半導体メーカーが最大7年のアップデートに対応したベンダーソフトウェアを提供しやすい環境を構築した上で開発費のコスト削減にも繋がっていることになります。

ただデメリットとしてはハードに依存する新機能にはあとから追加させいにくいと判断出来ます。少なくとも今回の情報をみるとアップデートサポート期間は拡張されても最新機種と同様の新機能に対応することは難しいという感じでメーカーによって対応が分かれる可能性があります。

拡張させにくいことに違いはない。

Pixelは最大7年のアップデートサポートに対応したことをアピールしましたがPixel 8でみると発売直後のFeature DropでGemini Nanoや動画ブーストに非対応など差別化されました。

結局ユーザーからすれば最大のサポート期間が伸びるのは嬉しいけど将来のアップデートで新機能に対応できず差別化されていくのであれば結局は今までとあまり変わらないという印象になるかもしれません。

ただGoogleによると今後のアップデートは出来るだけハードに依存しないようにした上でアップデートの内容を共通化したいことを明らかにしており今回のベンダーソフトウェアの問題があるからこそハードに依存した新機能を出来るだけ抑制するという狙いがあるのかもしれません。

少なくともPixelはGoogle Tensorを搭載していることからも開発費がかかるとはいえ独自SoCを持たないメーカーと比較すればより柔軟にアップデートを開発しやすい可能性もあります。

ただ今回の情報通りであればAI関連機能などハードに依存した機能は既存モデルに遡求しにくいです。少なくともGoogle AIがオフラインに依存しているからこそ既存モデルは対応しにくいです。

一方でFeature Dropで追加される新機能はハードに依存しないものがメインになる可能性があります。何より新機能をしっかり試したいとなれば最新機種に買い替えていく必要があると思います。

少なくともセキュリティアップデートに関しては今後最大7年に対応する機種は増えるかもしれません。特に新機能の追加を積極的に行う必要がないミドルレンジやエントリーモデルと相性がいいです。

一方でSnapdragon 8 Eliteが最初に対応したSoCとなっていることからも結局開発費用を回収するためにもフラッグシップに採用されるSoCが今後最大7年に対応する可能性があります。

ただフラッグシップであれば最新機能に興味を持つユーザーも多いと思うので相性が悪いかもしれません。何よりメーカーによっては実際に対応するかどうかは非常に難しいところでコストはかかります。

メーカーとしては中途半端なアップデートサポート期間に対応することで変にコストをかけたくないと思います。さらに最新機種を購入してほしいと考えると買い替えサイクルの長期化は好ましくない可能性もあります。

またアップデートサポート期間が拡張されればコストも雪だるま式に増えていく感じになります。そしてアップデートサポートのコストが嵩めば結局は本体価格に反映される可能性もあります。

逆にミドルレンジやエントリーモデルのアップデートサポート期間拡張はあまり進まない可能性もあります。

アップデートだけでは長期間使えない。

個人的にはアップデートサポート期間が拡張されるよりも更新頻度が高いよりもアップデートが安定している方が嬉しいという感じでPixelは地味に高頻度でやらかしているという印象です。

そしてSamsungに関してもOneUI6.1など準メジャーアップデートでやらかしている印象です。こう考えると新機能よりも安定性を重視しているという感じで多くのユーザーもそうかもしれません。

Googleが今後アップデートサポート期間を7年以上に拡張することを考えているのか不明です。少なくともGoogleによると一つの機種をお下がりという感じで使いまわしているユーザーが多いとしています。

お下がりなどを含めた平均的な使用年数が7年ということから最大7年にしたとの話です。一方でアップデートサポートが拡張されたとしてもバッテリーやストレージの寿命もあります。

少なくともPixelに関しては今後ストレージの状態を確認できるようになるみたいですがバッテリーに関しては寿命が確認できるというよりは使用状況の確認のみが出来る感じです。

何より長く使うためにはユーザー自身が色々と意識する必要があるので大変といったら大変です。今回はPixelやGalaxyがアップデートサポート期間を拡張できた理由が判明したのでまとめてみましたが素人には分かりにくい感じで何より搭載するSoCがかなり重要ということです。

あとはコスト含めてメーカーが今後サポート期間を拡張する流れになるのか非常に楽しみです。

最新情報をチェックしよう!