2025年を標準に合わせているのかPixel 9シリーズは例年より約2ヶ月の前倒しで正式発表されました。その結果従来フラッグシップのPixelはAndroidの最新バージョンを標準搭載していましたがPixel 9シリーズに関しては短期間とはいえAndroid14を搭載している期間があります。
今回は国内でも注目度が高くなっているGalaxy S24 UltraとPixel 9 Pro XLの比較レビューをしてみたいと思います。
デザインを比較。
先日にはGoogleさんよりPixel 9 Pro XLをご提供頂いた上で前モデルと比較してみました。少なくとも前モデルと比較すればしっかり進化しており今度は他社と比較したらどうなるのか気になるところです。
今回はソフトを中心に抜群の完成度を誇るGalaxy S24 Ultraと比較してみたいと思います。
まずデザインから確認していくと縦幅に関してはほぼ一緒ですが横幅に大きな差があります。少なくとも自分の手の大きさだとPixel 9 Pro XLも快適に片手操作できるサイズ感ではないです。
何よりGalaxy S24 Ultraの横幅はフラッグシップの中でもトップクラスの横幅となっています。少なくとも自分の手の大きさだとGalaxy S24 Ultraは片手操作は基本無理という感じでさらに本体の重さが233gと取り回しのしやすさに圧倒的な差がありユーザーを選ぶと思います。
サイドフレームを確認するとGalaxy S24 Ultraの方が丸みを帯びているため手にフィットしやすいですが結局のところ本体の横幅がかなりあるので持ちやすいとはならないです。
Pixel 9 Pro XLのサイドフレームはフラット形状に近いため手にフィットしにくいですがまだPixel 9 Pro XLの方がマシという感じで持ちやすさには本当に大きな差があります。
一方でGalaxy S24 Ultraはサイドフレームにチタンを採用しているため実質マット仕上げにPixel 9 Pro XLはサイドフレームがフラット形状になったからこそ余計に指紋が目立ちます。
少なくとも質感にも差がありますが何よりこのサイズ感の違いをどう捉えるかだと思います。
バックパネルは両機種ともフラット形状に加えGorilla Glass Victus 2を採用しています。耐久性の部分では大きな違いはないと思いますがGalaxy S24 Ultraの方がサイドフレームにチタンを採用していることから落とした時により衝撃を上手く吸収してくれる可能性があります。
両機種ともバックパネルはマット仕上げなので質感は高めで好みが分かれるとすればカメラです。Galaxy S24 Ultraと比較するとPixel 9 Pro XLはカメラバンプが圧倒的に派手です。
ただ並列型のカメラデザインを採用しているため平台に置いた時にガタガタしないのはメリットだと思います。ざっくりと言えばPixel 9 Pro XLはカメラデザインとサイドフレームの質感にちょい不満です。
そしてGalaxy S24 Ultraは横幅がありすぎる上に重くて取り回しが悪いと思いますがこれはユーザー次第だと思います。少なくとも自分の手首の調子だとGalaxy S24 Ultraは長時間使うのは厳しかったです。
ただデザイン全体的にみた時にGalaxy S24 Ultraの方がスッキリしていて高級感を感じます。
ディスプレイを比較。
次にディスプレイを確認していきたいと思いますがPixel 9 Pro XLは四隅が丸みを帯びたデザインを採用しているのに対してGalaxy S24 Ultraは角ばっているため印象が違います。
コンテンツの見え方。
ディスプレイサイズで見れば一緒ですがGalaxy S24 Ultraはアスペクト比19.5:9を採用してるため単純にデカいという感じでコンテンツがより大きく表示されることが多いです。
表示解像度に関してはGalaxy S24 Ultraの方が上ですが人間の目で識別するのは難しいと思います。YouTubeを再生してみると両機種とも同じSamsungのMシリーズを採用していることも影響しているのかチューニングの問題なのか暖色系の色味で発色は非常に良く感じます。
ちなみにGalaxy S24 Ultraは現時点で唯一Gorilla Glass Armorを採用した機種です。
耐久性に関してはGorilla Glass Victus 2を採用したPixel 9 Pro XLよりも優秀です。さらに反射率も最大75%カットされるのが大きな特徴ですが保護フィルムを使うと恩恵はないです。
ディスプレイ輝度の違い。
そして地味に違いが気になる部分としてディスプレイ輝度で海外サイトのテスト結果を参考にするとGalaxy S24 Ultraは手動調節で755nitsで自動調節の場合は1447nitsとなっています。
執筆時点で海外サイトがPixel 9 Pro XLのディスプレイテストの結果を公開していません。なのでPixel 8 Proを参考にすると954ntisで自動調節は1600nitsとスペック上は強いです。
ただ前モデルは平均値が低いのかGalaxy S24 Ultraほど明るいという印象はありませんでした。実際に比較してみるとPixel 9 Pro XLは屋内でGalaxy S24 Ultraとに僅かに劣る印象です。
一方で驚いたのがYouTubeのサンプルを撮っている時でPixel 9 Pro XLの方が圧倒的に明るいことです。正直今回試した感じだとレベルが違うというくらいPixel 9 Pro XLの方が見やすいです。
リフレッシュレートの違い。
またタッチレートサンプリングが改善した影響なのかRAMのおかげなのかPixel 9 Pro XLは非常に滑らかにスクロールできるようになっており歴代Pixelは発売当初Twitterにおいてほぼスクロールする際に不安定になる現象がありましたが手持ちの個体は非常に安定しています。
コンテンツの大きさはGalaxy S24 Ultraの方が全体的に優秀ですがディスプレイ全体で見た時にPixel 9 Pro XLの方が視認性が優れている感じで品質はしっかり改善してきた印象です。
指紋認証が快適。
またディスプレイと合わせて確認しておきたいのが生体認証で両機種とも2D顔認証に対応しています。ただGalaxy S24 Ultraは本体のロック解除のみに対してPixel 9 Pro XLはクラス3に対応しています。
またPixel 9シリーズからついに超音波式画面内指紋センサーを搭載しており追いついた感じです。QualcommによるとGalaxy S24 Ultraと同じく第2世代の3D Sonicを搭載していることを明らかにしています。
何より実際に比較しても差を感じないくらい両機種とも快適で以前のような相性問題はほぼないです。逆にこのレベルでも相性が悪いと感じる人は正直画面内指紋センサー自体との相性が悪いと思います。
ちなみに両機種ともSpigenのガラスフィルムを装着していますが手持ちだと特段問題ないです。
基礎スペックを比較。
そして基礎スペックを確認していきたいと思いますがAndroid14に最大7年は両機種とも共通です。ちなみに国内でみるとアップデート頻度はPixelの方が圧倒的に多く大きな差があります。
また通信関連を確認するとdocomoであれば両機種ともeSIMの転送機能に対応しています。
一方でPixel 9 Pro XLは前モデルと異なりミリ波に非対応ですがGalaxy S24 Ultraは対応しています。近年直販版に力を入れているSamsungですがキャリアモデルと同様にミリ波にもしっかり対応しています。
容量構成を比較。
容量構成に関してGalaxy S24 Ultraは128GBがないですが1TBモデルがあるという感じです。またストレージによってカラバリが制限されるのも一緒で基本上位モデルほど黒のみになりがちです。
そして地味に大きな差があるとすればRAM16GBで有名なリーカーによるとGalaxyは同じアプリを2回開き直すとリロードになりやすく低品質なRAMを使っていると指摘しています。
確かに言われて見ればGalaxy S24 Ultraの方が同じ使い方でもリロードの回数が多いです。何よりストレージを優先するかRAMを優先するかで個人的にはRAMの方が恩恵が大きいです。
パフォーマンスの持続性と発熱。
そして発熱とパフォーマンスの持続性を調べるためにベンチマークを3回連続で回してみました。スコアで見れば圧倒的な差となっていますが個人的にはゲームをやらないので気にならずです。
むしろ中華系と比較した場合にGalaxy S24 Ultraのスコアも決して高くない感じです。それこそXperia 1Ⅵが170万点以下で散々批判されたことを考えるとGalaxyもほぼ一緒です。
一方で気になる部分として内部温度でGalaxy S24 Ultraは43度以下に抑えている印象です。
計測終了ごとに外部温度を計測してみましたがPixel 9 Pro XLは33.6/34.8/34.7度でGalaxy S24 Ultraは38.5/42.6/44.1度でPixel 9 Pro XLは実際に持ってみてもほとんど熱くならないのに対してGalaxy S24 Ultraはかなり熱くなっている印象を受けます。
またパフォーマンスの持続性を調べるために3D Mark Wild Life Stress Testを実施。
スコアで見るとPixel 9 Pro XLのトップスコアとGalaxy S24 Ultraのロースコアがほぼ一緒という感じです。ただ安定率でみるとGalaxy S24 Ultraは48.1%と50%以下なのでかなり厳し目です。
Galaxy S24 Ultraは前モデル対比で1.5倍大型化したベイパーチャンバーを搭載しています。ただSoCの発熱対策で持続性を改善するというよりは維持するために大型化するしかなかった感じに見えます。
少なくともゲームをガチでやるかやらないかで大きく評価が分かれるところかなと思います。ゲーム性能に関しては大きな差があってもAI性能でみるとPixel 9 Pro XLの方が結局上です。
自分はゲームをやらないので少しでも本体が発熱しにくい方が満足度が高くなる感じです。
バッテリー関連を比較。
バッテリー関連を確認するとバッテリー容量はほぼ一緒ですが電池持ちはここ数日使った感じではGalaxy S24 Ultraの方が圧倒的に安定している印象でPixel 9 Pro XLは及ばないです。
Pixel 9 Pro XLは開封してから時間が経過していないため最適化も終了していないと思います。とはいえ今後使っていったとしてもGalaxy S24 Ultraを超えることはないかなと思います。
ちなみに充電速度を確認するとGalaxy S24 Ultraは充電開始30分で69%でフル充電に65分です。一方でPixel 8 Proを参考にすると充電開始30分で56%でフル充電に要した時間は83分です。
少なくともPixel 8 Proよりは速いと思いますがGalaxy S24 Ultraには及ばないと思います。一方でワイヤレス充電においてPixel 9 Pro XLはPixel Standを使うことで最大23Wに対応しています。
そのためワイヤレス充電で見るとバッテリー容量にほとんど差がないことからもPixelの方が速いです。
その他を比較。
その他IP68に共通対応しておりイヤホンジャックやSDカードスロットがないのも共通です。
そして音量を70%に設定した上でスピーカーテストをしてみました。音量に関しては明らかにPixel 9 Pro XLの方が小さいですが音質は割とまとまっている感じです。
絶対的にGalaxy S24 Ultraの方が優れているかと思いきやそんなことはなかった感じでちょっとGalaxy S24 Ultraの方が高音を中心に音がバラバラに感じることが多いです。
ただPixel 9 Pro XLに関しては音量と共振をもうちょっと改善してほしいように感じます。
カメラを比較。
最後にカメラを確認していきたいと思いますがメインカメラセンサーは画素数に大きな違いがあれどセンサーサイズは一緒で何よりGalaxyとPixelでは画質よりも色味で好みが分かれると思います。
また超広角におけるマクロ撮影は共通対応で望遠に関してPixel 9 Pro XLは中倍率にフォーカスしている印象でGalaxy S24 Ultraは最大100倍に対応するなど長距離を意識した構成となっています。
とりあえず写真のサンプルを撮影してきたのでご確認下さい。
超広角で撮影。
今回のサンプルはPixel 9 Pro XL/Galaxy S24 Ultraの順番になっているので予めご了承下さい。
本当に僅かですがPixel 9 Pro XLの方が黒潰れしていない印象でしょうか。
広角で撮影。
広角になった瞬間に色味で大きな違いがあるのを確認できます。
接写してみましたがPixel 9 Pro XLの方がフォーカスを合わせやすいです。
Galaxy S24 Ultraは歴代モデルと比較するとより現実よりの色味で写真を撮れるようになりましたがPixel 9 Pro XLと比較するとまだまだ過剰補正に見えます。
ポートレートで撮影。
次にポートレートで撮影してみましたが最低倍率が異なりPixel 9 Pro XLは1.5倍に対してGalaxy S24 Ultraは1倍で撮影しています。
この被写体にフォーカスを合わせのはなかなか難しいのですがPixel 9 Pro XLの方がより優れていることを確認できます。
次に2倍で撮影してみましたがGalaxy S24 Ultraは色潰れが発生していることを確認できます。
ポートレート使用時はPixel 9 Pro Xlの方が寄って撮影できる印象で全体的にPixel 9 Pro XLの方が取り回しが優れています。
望遠で撮影。
次に2倍で撮影してみました。
そして両機種とも光学となる5倍で撮影してみましたが「時計」部分でみるとGalaxy S24 Ultraの方がクリアに撮れている印象を受けます。
次に10倍で撮影してみましたがGalaxy S24 Ultraの方がノイズが少ないように見えます。
そして20倍で撮影してみましたがPixel 9 Pro XLの方が圧倒的にノイズが多いです。
最後にPixel 9 Pro XLで最大ズーム倍率となる30倍で撮影してみましたが雲泥の差です。
ズームで接写。
そして2倍で接写してみました。
光学となる5倍で撮影してみましたがGalaxy S24 Ultraはちょっと被写体を明るく補正しすぎの印象です。
最後に10倍で撮影してみましたがGalaxy S24 Ultraの方が安定している印象です。5倍以上のズーム撮影をしたいユーザーはGalaxy S24 Ultraを選んでおけば間違いないという感じです。
そしてマクロ撮影してみましたがGalaxy S24 Ultraの方が圧倒的に寄って撮影しやすいです。
超広角(低照度)で撮影。
次に低照度の環境で手持ちかつナイトモードでサンプルを撮影してみました。
やはりGalaxy S24 Ultraの方が白飛び抑制は優秀です。
広角(低照度)で撮影。
Galaxy S24 Ultraの方が照明の色に引っ張られやすい印象を受けます。
光源と距離があるとフレアもしっかり抑制されGalaxy S24 Ultraの方が安定している印象を受けます。
強い光源があるシーンですがGalaxy S24 Ultraは白飛びが抑制されているとはいえフレアがひどいという感じです。発売当時もこんな感じでしたがアップデートで改善したと思いきやまた不安定になっています。
望遠(低照度)で撮影。
最初に1倍で撮影してみましたがGalaxy S24 Ultraは照明の影響を強く受けています。
次に2倍で撮影してみましたが空の部分においてPixel 9 Pro XLの方がノイズが多い印象を受けます。
最後に5倍で撮影してみましたが想定ほど差がない感じです。今回試した感じだとズーム性能に拘るのであればGalaxy S24 Ultraですがズーム性能以外に関してはPixel 9 Pro XLを選んだ方がいいと思います。
また今回サンプルを用意していませんが娘を撮っている感じだと相変わらずPixelは動体の撮影にも強くGalaxy S24 UltraならブレるシーンでもPixel 9 Pro XLなら簡単に撮れるという感じです。
その他動画に関して長尺撮影は別ですが自分のように短尺撮影がメインなら動画ブーストがあるPixel 9 Pro XLの方が汎用性が高いように感じます。ちなみにPixel 9 Pro XLは8K/30fps撮影は動画ブーストで対応していますがGalaxy S24 Ultraは通常撮影かつ5倍でも撮影可能です。
まとめ。
両機種ともAIに力を入れいますがかこって検索のように共同開発した機能もあればGalaxy AIは基本Google CloudやGemini NanoにGemini ProとGoogleのサービスに依存しています。
また大きな方向性の違いとしてSamsungはオンライン処理が多めに対してGoogleはオフライン処理がメインです。少なくともサーバーを経由しない方が処理速度も早ければセキュリティ的にもより安全です。
またSamsungは翻訳系の機能が全般的に強いのに対してGoogleは画像の編集機能が強いという感じです。さらにGoogleはPixel 9シリーズでGeminiをさらに強化してきた感じで今後が楽しみです。
そして直販版で比較するとGalaxy S24 Ultraは18万9700円に対してPixel 9 Pro XLの256GBモデルは19万2900円となっており意外にもGalaxy S24 Ultraの方が安いです。
少なくともカスタマイズ性にしろソフト関連はGalaxy S24 Ultraの方が優秀です。一方でスペック全体でみた時にPixel 9 Pro XLも思っていたよりはしっかり勝負できています。
あとは今後配信されるAndroid15でGoogleはどこまで不具合やバグを抑制することができるかだと思います。カメラに関しては好みがはっきりするところで個人的にはPixel 9 Pro XLの方が取り回しがいいように感じます。
ネットだと価格帯が一緒ならGalaxyしか売れないと言われますが決してそんなことはないと思います。
製品提供:Google Japan