先日にSonyはXperia 1Ⅵを正式発表しましたが、その進化の方向性は既存ユーザーかそうではないかで大きく評価が分かれている印象です。一方で2023年においてSonyは国内市場で大きくシェアを減少させておりシェア回復のためにもミドルレンジであるXperia 10Ⅵが非常に重要になってきます。
今回はXperia 1Ⅵが一般向けの進化を遂げたことでXperia 10Ⅵにかなり皺寄せがきていると思うので主観的にまとめたいと思います。
ライトユーザーが安心して使える機種。
現行シリーズに移行してからハイエンドであるXperia 1シリーズやXperia 5シリーズは「ニッチ」路線となっていましたが、Xperia 10シリーズに関してはXperiaの良さを踏襲しつつも「一般向け」を意識していたモデルになります。
ハイエンドはカメラアプリが細分化した上でマニュアル撮影が強化される中でXperia 10シリーズは従来のカメラUIを継続採用しており、ハイエンドと比較して加工感も強め。
また一般ユーザーの多くが求める電池持ちの良さ/持ちやすさ/綺麗に撮れるカメラにフォーカスしていた機種でありXperia 10シリーズは価格帯からも国内ではそこそこ売れていたことが分かっています。
一方でXperia 10Ⅵでも持ちやすさは継続。前モデルより僅かに重くなったとはいえ筐体サイズは維持しており、横幅も68mmであることを考えれば多くのユーザーにとって片手操作しやすいサイズ感だと思います。
またユーザーが安心して使えるようにアップデートサポート期間は最大4年に拡張されており、バッテリーも最大3年間はへたらないように強化。また耐久性を担保するためにもGorilla Glass Victusを採用しており防水防塵はIP65にIP68に対応しています。
つまり水飛沫を浴びても沈めても大丈夫とライトユーザーがより安心して長く快適に使える配慮が最大限されている印象です。
Xperia 1Ⅵからの皺寄せ。
一方でXperia 1Ⅵがより一般向けの進化を遂げたことでXperia 10Ⅵに皺寄せがきている可能性があります。一つ目としてはディスプレイでデザインと直結する部分ですがアスペクト比21:9に6.1インチのディスプレイだからこそ持ちやすい。
ただ縦長であるからこそ一度に表示できる情報量が多いとはいえコンテンツ自体は小さく表示され見にくいと思います。Xperia 1Ⅵの開発者インタビューを見るとXperia 1Ⅵではアスペクト比を変更した理由としてコンテンツをより大きく表示させ視認性を改善させるためだとしています。
つまりアスペクト比21:9は視認性が悪いとSony自ら認めていると判断することができ、特に視力にあまり自信がないユーザーにとっては見にくいディスプレイと言い換えることもできます。
また筐体サイズを考えると5000mAhと大容量のバッテリーを搭載した上でSnapdragon 6 Gen 1を採用したことで電力効率の改善。なので前モデル対比で電池持ちがさらに改善するかなと期待していましたがGSM Arenaのバッテリーテストの結果を参考にすると「13時間56分」であることが判明。
Xperia 10Ⅴはミドルレンジモデルの中でも圧倒的に電池持ちが優秀なのが大きな特徴だった。
スコア | |
Xperia 1Ⅵ | 17時間27分 |
Xperia 5Ⅴ | 16時間19分 |
Xperia 10Ⅴ | 16時間14分 |
Nothing Phone (2a) | 15時間53分 |
Xperia 10Ⅵ | 13時間56分 |
Galaxy A55 | 13時間27分 |
少なくとも「13時間56分」というスコアを考えると電池持ちはかなり優秀な方であることに違いはなくライトユーザーでは2日近くもつ可能性があります。ただ残念なことに前モデルと比較すると大幅に悪化しており、Xperia 1Ⅵの電池持ちが良すぎることもありますが逆にXperia 10Ⅵの大きな特徴が失われたようにも見えてしまいます。
またミドルレンジの中でみてもPixel 8aのスコアが執筆時点で不明ですがそこまで優秀という感じでもなくなってきている。ミドルレンジなのでコストもかけにくくXperia 1Ⅵと合わせてデザインを刷新させるのは厳しかったんだと思います。
フラッグシップは各社のブランドイメージを決める上でも非常に重要ですが、Sonyで見ればXperia 10シリーズが売り上げの中心になります。大きな方針転換があったため仕方ないとはいえXperia 1Ⅵの進化を正当化することは既存のXperiaを否定することになります。
その中でXperia 10Ⅵは割と不遇な立場になっているように見え、ちょっとかわいそうな存在に見えてしまいます。